これが恋だなんて信じないⅡ (ページ39)

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クリスマスイブの約束ページ39

「私は隣の部屋に行っとくわ」

「いや、何言ってんの私が行くわ」

そう言って、速まる鼓動を胸に、電気のついていない隣室に移動。小さい電気をパチリとつけた。綾瀬はまたニヤニヤしてたけど、もうどうでもいい。なぜ、なぜ今なんだ。そりゃ世間はクリスマスだよ？宏規くんも役者仲間との用事入ってるでしょ。まだ日付も回ってないけど大丈夫なのか…？

いや、それよりも、嬉しいんだ。嬉しいけど、嬉しいけど………なんか嬉しくていいのかな。……バチが当たりそう

色々考えて悩んでいたら、電話はプツッと音が切れてしまった。待ってこれはかけ直すパティーン……？

出なくてごめんなさい、と思いながらかけ直すと、たったワンコールで宏規くんは電話に出た。思わず唾を飲み込む。

『メリ〜クリスマ〜ス♪もうー出てくれへんと思った』

「うっ、ごめん…あ、えっと、クリスマスだね」

何言うてんねん私…当たり前でしょもっとなにか言えたじゃん…

『うんーまあそうやね。今日は先にいくみたちと約束してたんよ。ほんとにごめんっ』

「ううん、全然大丈夫！連絡もらえて嬉しい」

そう言うと『俺も、声が聞けて嬉しい』となんでもないように返ってきた。……普通に恥ずかしいんだが？

「あーえっと…サラッとそういうこと言うよね…」

『え゛っ、同じこと言ったつもりだったんやけど?!……まあいいや。全然クリスマスの話じゃないんやけど、そういえば、誕生日来月よね』

「？うん、そうだけど…」

『当日は無理なんやけど………前後で、少しでも会えへんかな〜って……』

「……えっ?!」

『……無理？』

そんな悲しそうに言わないで欲しい。無理なわけないだろう………むしろ、嬉しくて舞い上がりそうなぐらいなのに。

「むっ、無理じゃない！すごく…嬉しい」

『ほんま？あーよかった〜』

ホッとしたのが音になって聞こえるように思えるほど、安堵の声だった。と同時に、電話の向こうで「よかったな〜」と言う声に混じったからかう声が聞こえた。いくみんの声も聞こえる。

『もう〜うるさいんやけど〜聞こえるから黙っとって。……じゃあ、また打ち合わせしよっか』

全部聞こえてるんだけどな

「ふふっ……うん。ありがとう」

『ううん。……俺が会いたいだけやから。じゃ、ばいばい〜』

「！……ん〜そういうとこだよ！ばいばい！」

電話を切って、すぐ、顔を覆った。あ〜何言ってんのあの子…

いきなり態度が甘すぎると思うんだが…？