これが恋だなんて信じない

2【番外編】 ページ43

良い質問を思いついた俺は悩める友人に聞いてみることにした。


「……じゃあ今、Aちゃんに彼氏がおったらどう思う？」


宏規はわかりやすくえっ、というような顔をすると、少し間をおいてから、嫌だ、と呟いた。



「多分彼氏とかじゃなくても男と話しとるのを見るのもそんなに良い気はしないんじゃない？」


「……うん」


「えっ嫉妬深っ」



冗談半分で聞いたのだが、意外と冗談にならなかった。思わず苦笑すると、目の前の嫉妬深い友人は腕に顔を埋めて、だって嫌だもん…と消え入りそうな声で言った。



「ほらやっぱ好きなんじゃん」


「そうかもしらへんけどまだ認めてないから」


「映画行ったとき彼氏いるか聞いてみたら」


「いつも思うんやけどハードル高いから」


「でも気になって夜も眠れませんって顔しとる」


「今顔見えんやん……」



屁理屈を捏ねるのでわざとらしくため息をついてやった。
宏規は芝居に関してはそんなことないのに、人に対するときは意外に慎重で変に考えすぎる癖がある。



俺は情けない親友の恋(本人はまだ認めていない)を密かに応援することにした。

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