【HQ】隣の王様くん【影山飛雄】 (ページ25)

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一目惚れページ25

月島

月島「ちょっと来て。」

A『ぇ？メガネ…ｸﾝ…？！』

短く要件を伝え、固まったままの奥村ｻﾝを二の腕を少し強引に引っ張っり連れていく。

いつもはビー玉みたいに眩しいくらいに透き通る真っ直ぐな目が潤み、揺れていた。

今の彼女の目は水晶のように向こう側が見えそうで見えない。半透明で核心は見えない。

今にも壊れそうなトランプ出できたタワーみたいに、彼女が必死に造り上げてきたモノに強引に触れた。

余裕なんてない癖にのらりくらりとヘラヘラしてるのが堪らなくムカつく。

月島「…ちよっと奥村ｻﾝ借ります。」

澤村「ぇ？ぁ、あぁ。」

奥村ｻﾝを連れ出すのに誰の許可が必要かなんて知らないから取り敢えずキャプテンに一言断って彼女の手を引き、体育館を出る時に態とオウサマを一瞥する。

ただ驚いたように、怒りを顕にして、

口を開き、何かを口にするオウサマ。

視界の端でオウサマが手を伸ばすのが見える。

そんなもの届かなくていい。

牽制か、独占欲か。

藻掻くのなんてみっともない。見苦しい。ダサい。醜い。

鼻で笑ってきた。

恋だの愛だのカタチなんてないココロだの。

全部どうでもいい。どうでもよかった。

ただ、なんとなく気になるだけ。

ーー違う。

''なんとなく''じゃない。

影山が奥村ｻﾝに告白した時に気付いた。

彼女と出会って間も無いケド。

惹かれるのに時間はかからなかった。

ていうか多分。一目惚れだったんだと思う。

ただ遠目に見てただけ。

ーー入学式の日。

いつも通りにヘッドホンをしてお気に入りの曲を聴きながら山口と桜の下を歩く並木の下で、頑なに体育館へ背を向け悲しそうに笑う君。

何故か心を奪われた。

''コート上の天使''でもない。''水瀬''でもない。

''今''の君に。

確信に至るほどの証拠とか根拠はないけど。

奥村ｻﾝが水瀬かは知らない。

ねぇ。触れさせてよ。教えてよ。

君が抱えてるモノを。

ホントは知ってる。

君の目が映すのは僕じゃないことくらい。

心にいるのは僕じゃないことくらい。

だからさ。

少しくらい欲張ってもいいでショ？

月島「君は…''水瀬''Aなの？？」

一瞬でいいから。

その瞳に僕を映してよ。