あのね、聞いて君が好き。【木兎光太郎】

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▹▸赤葦





「ママかよ。」

「オカンかよ。」

「お袋かよ。」






騒ぎ出すほかのメンバーの中いつもなら人の何倍もオーバーな木兎さんが何故が静か。










「あれ？木兎怒んねぇの？」

「成長したんだろ。そろそろ」








なんならドヤ顔している始末。


流石にそのドヤ顔の意味が分からずAに視線だけで、ドヤ顔の意味を尋ねるもAまで首を傾げる。



俺にも･･･ましてや彼女であるAにも分からないらしい。











「全っ然！！羨ましくねぇもん！」







歩きながら話す俺たちの後ろで突然、木兎さんは立ち止まり全身で訴える。










「俺、毎日夜に電話してるもんっ！！」


「･･･あっそ。」 「ハゲろ。」 「帰ろー。」











「この前出かけた時プリンに乗ったサクランボくれたし！」

「うるせぇ。前科持ち。」

「１回取って怒られてたクセに」







そう言って木兎さんを置いて歩き始める先輩たちの背中に木兎さんの自慢気な声がぶつかる。








「ギューってしたらギューってしてくれるし！！」


「…だからなんだよ。」

「っ？！羨ましくなんてねーからな！」












･･･Aがサクランボを誰かにあげるなんて

相当、木兎さんに心を開いてるんだろう。









ベラベラとAの可愛さについて語る木兎さんと

何故かプライベートな事をベラベラ話されるA。




ただの被害者と加害者の図へと変貌を遂げている










『…木兎さんなんて知らない。』

「だって！あかーしばっかズルいもん！木葉もみんなも！」






『･･････』

「あかーし！どうしよ…！！ねぇAちゃーんっ」




「ハイ。分かりましたので取り敢えず帰りましょう。」








完全にしょぼくれモードに入りつつある木兎さんの背中を押し、頬を膨らませ唇を尖らせるAに耳打ちをする。








「A…木兎さんどうにかして。明日春高なのにこのままじゃ流石にマズイ。」


『･･･ヤダ。木兎さんが悪いもん。』









Aも木兎さんも変な所で意地っ張り。

面倒なのが2人に増えた。











はぁーー。

はぁ。



重たい溜息を着くと、隣で小さな溜息が聞こえる。



？？

















『木兎さん…頑張って下さい。』

「･･･え？Aちゃん…！！！」

















この後ニマニマした木兎さんに呆れ

少し不貞腐れたAを宥めたのは言うまでもない。

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