▫️恋と夢 - 2 ページ7
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「くそ…なんであいつのことなんか考えてんだよ俺」
「何の話してるの?」
不意をついた聞き慣れた高い声とほのかに香る匂い。
耳元のあっけらかんな声色に思わずうわぁ!と立ち上がり椅子が転げる。
振り返れば悩みの元凶が小首を傾げて立っていた。
「A、お前…なんでここに…!!」
「そんなに驚かなくても…」
いや、そりゃ好きな女が急に目の前に現れたら誰だって驚くだろ!
ーーなんて言えるはずもなく。
騒ぎ立てる胸の鼓動をなんとか押し込み、平静を装う。
「…お前、何しに来たんだよ」
「んもう!忘れたの?玲王が昨日言ったんじゃない」
そう言って目の前に差し出されたのは、紫色の風呂敷に包まれた大きめの弁当箱。
「玲王の分!ちゃんと作ってきたよ」
ーーAが……俺に弁当?
今まで照れくさくて作って欲しいだなんて言えなかった。
昨日だって、成り行きとはいえ凪の流れに乗っかっただけで、期待なんてしてなかった。
でも好きな女が、俺のためだけに初めて手作りの弁当を作ってくれた。
「これ……本当に俺にくれんの?」
「当たり前でしょ?そのために作ったんだから。もう昼休み終わっちゃうよ?凪くんも待ってるし、早く屋上行こ!」
屈託なく笑って俺の手を引き先導するAの様子に、鉛のように重かった身体がすっと軽くなった。
あれだけ悩んで悩んで、沈んでいた気持ちも。
Aの顔を見たら、どこかにぶっ飛んでしまった。
俺の指を握る一回り小さくて、か細いその温もり。
照れくささを感じながらも少しだけ握り返し、その後を付いて行ったのだった。
「 恋と夢 」
(あーやっぱりお前が好きだばかやろう)
「レオ…顔赤いけど」
「言うな。それ以上何も言うな」
「何してるの二人とも!早く行くよー!」
たくさんのお気に入り登録ありがとうございます。
現状、玲王の恋心が加速大爆発してますが。
本筋は凪です。……凪です(迷言)
今後も楽しく執筆していければと思います。
宇治
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宇治(プロフ) - いのりさん» いのりさん、ご無沙汰しております♪お優しいお心遣い感謝です(泣)励みになります…まさかこんなにスランプに陥ると思っていませんでした…。凪くん楽しく執筆させていただきますね!ありがとうございます♪ (2023年2月17日 13時) (レス) id: 7205c6bdcb (このIDを非表示/違反報告)
いのり(プロフ) - 宇治さん!こんにちは!スランプって大変ですよね…。ゆっくり宇治さんのペースで大丈夫ですよ!応援してます♡ (2023年2月17日 7時) (レス) @page26 id: 61b0845b42 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:宇治 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/uji/
作成日時:2023年1月28日 17時