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龍樹side
「龍樹」
車に乗り込むと、父さんに声をかけられた。
「泣くな。
決して泣くな。
お前は、正しくなかった。
守り方を間違えたんだ。」
わかってるよ、父さん。
俺は守れなかった。
だからあいつを失うんだ。
だけど後悔していない。
あいつを傷つけたやつを全員殺したかった。
殴って殴って、それでも殺さなかったのは、直前にあいつの顔が浮かんできたからだ。
「龍樹」
「これでいいのよね。
何も言わないまま、真実を知ってるのは私とお父さんと、あなたと警察の人と、被害者だけ。
真桜ちゃんに言わなくていいのね」
「いいんだ。
真桜には言えない。
真桜はこんなこと望んでなかったはずだから。」
「ばかね、あなた。
本当にばかね。」
「ごめん、母さん、父さん。」
「構わん。
俺たちも仕事ばかりしていてお前のことを見てやれていなかったしな。
迷惑なら、これでおあいこだろう。」
「俺さ、好きだったんだ。
真桜のことが好きだったんだ。」
恥ずかしいことを言ってるな、と思う。
高校生のヤンキーが親に向かって恋バナかよ。
だせえな。
でも。
恋をしたんだ。
天才少女に、恋をしたんだ。
俺が恋をしたのは高嶺の花で、そしてその花は一瞬だけ俺のものになった。
なんて幸せなことだろう。
だからもういいんだ。
もう、俺のものじゃなくていいから。
だからもういっそのこと。
届きもしない高嶺の花に。
俺に手が届かないようになってくれ。
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かぷりちお - コメントありがとうございます!亀更新ですが、完結は必ずしますので、気長に読んでくださると嬉しいです! (2018年8月24日 2時) (レス) id: 0810d4d9bb (このIDを非表示/違反報告)
G - 続き気になる (2018年8月22日 16時) (レス) id: cad32de435 (このIDを非表示/違反報告)
あいり - 続き書かれる予定はありますか、、、?設定が面白いので思わず読み入ってしまいました笑 (2018年8月22日 11時) (レス) id: 5cff57e74b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かぷりちお | 作成日時:2018年6月27日 19時