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「もっと強く抑えてないと落ちるぞ」
彼はそう言って自らの体に私の腕を少し引っ張って抑えるように誘導した。
ぴったりと体がくっついて、彼の暖かい体温が伝わる。私よりも大きな背中が相手が男だということを実感させ、ドキドキさせる。小柄で女の子みたいな可愛い子のイメージが一瞬で、ちゃんと男の人だと塗り替えられて緊張が収まらない。
私の心臓の音が聞こえてませんようにと祈るばかり。
「大丈夫か？」
「はい！」
「もう少しで着くから」
冷たいけど気持ちのいい風。本当だったらきっと肌寒いけど、乾さんの体温のおかげで少し暖かい。
さっきよりも少し優しい声色で、緊張しつつもなんとなく安心してくる。
彼がバイクを止めたのは、近くにある海だった。先に彼が降りると、私が降りるのも手伝ってくれた。優しくて気遣いのできる彼にまたドキドキしてしまう。
海はもう日が沈まりかかっていて、空は夜と夕方の間のような色をしていた。とても綺麗な空に思わず目を奪われる。
砂浜に乾さんさんが立つと、もはや絵画のようだった。
「絵になりますね、乾さんは」
「そうか？」
Aに褒められてちょっと嬉しそうに頬を染めた乾。そんな乾の可愛い表情に完全にノックアウト状態のA。
「乾さん、異性と2人でこんなところ来ちゃダメですよ。彼女さんに怒られますよ」
ドキドキしながらも1番懸念していたことを意を決して言うも、彼は平然と返す。
「オレ恋人とかいねぇから」
「そんなに綺麗なのに？」
びっくりして思わず思っていたことが考えるよりも先に出てしまい、口元を抑える。
「オレのことめちゃくちゃ褒めてくれるけど、Aさんの方が何倍も綺麗」
なぜか褒められて動揺する私をよそに彼は動じずに続けていく。私が恥ずかしくて思わず後ずさるのを見て、後ろに逃げられないように彼は私の手をぎゅっと掴んだ。
男慣れしてないせいもあって、さっきから心臓がドキドキと脈打つのが止まらない。
「乾さん、」
「それもやだ。ドラケンのことは堅くんなのに、なんでオレは乾さんなんだよ」
「えっ」
「青宗、じゃだめか？」
懇願するような顔。ずるい。そんな顔されて断れる人はいないじゃないか。不思議と彼の手を振り解けなかった。
「青宗さん、ずるいですよ、それ」
「ずるい手段も使う。オレもAさんに好かれるのに必死だから」
自分の顔の良さと私がそれに弱いのを分かってやってるから彼は本当にタチが悪い。
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Alice(プロフ) - きなこだいふくさん» 最後までお付き合いいただきありがとうございました…！そんな風に言っていただけて嬉しい限りです…！続編を作るかもしれないので、もし作った際はぜひよろしくお願い致します♡ (2022年4月2日 17時) (
レス) id: fa28fe383f (このIDを非表示/違反報告)
きなこだいふく(プロフ) - 完結おめでとうございます。とても面白い話がたくさんあり、私自身とても楽しく読み進めることができました。こんな神作をありがとうございます！そして、更新お疲れ様でした！ (2022年4月2日 11時) (レス) @page46 id: 90c5be706c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Alice | 作成日時：2021年9月19日 20時
