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「お邪魔してます」
イヌピーさんにも会釈して挨拶をする。
「イヌピーもうちょい休憩してても大丈夫だぞ」
「いや、平気」
「じゃあ、オレちょっと飲み物取ってくるわ」
堅くんがイヌピーさんにそう声をかけるも、イヌピーさんは仕事を嫌がる様子はなく、颯爽と仕事場に戻ってきた。そうして、彼と入れ替わるように堅くんが裏に戻って行った。
乾はAのいる方にゆっくりコツコツと足音を鳴らしながら歩いていき、Aの隣まで来てAのバイクをじっと見つめた。
……この人、なんか距離近いな。本当に私の真横まで来てバイクを眺めている。パーソナルスペースが狭いタイプの人かな。
そういえば、イヌピーさんの名前知らないなぁ。なんて呼べばいいんだろう。
初めて会ったとき、彼は今以上に無口で「顔の火傷の痕、痛くないんですか？」と心配したときには私の手を取って、傷跡に触れさせて「……ほら、痛くない」と言っていた。
さすがに初めてであの距離感は驚いた。
天然なのか不思議な性格なのか、行動が突拍子もなくて読めない。あの堅くんですら驚くこともあるらしい。
少なくとも人との距離が近過ぎるのは確かだよな、とぼんやり思いながら、エンジンの辺りをいじるイヌピーさんをぼーっと見つめる。
目の前にお人形かと思うくらいに綺麗な男の人がいると思うと、なんとなく胸がドキドキするくらいには緊張する。
イヌピーさんにバレないように隠れて深呼吸をして、声をかける。
「あ、あの、」
「ん？」
「イヌピーさんって、本名はなんていうんですか？」
工具でバイクをいじっていた手を止めて、澄んだ水色の瞳がこちらを向く。本当にお人形のような精巧な顔立ち。バイクとはミスマッチな見た目だな、と感心してしまう。
「……乾。乾青宗」
あまり表情を変えずに、名前を教えてくれた乾さん。
元々無表情な人なのか、それとも話すのが苦手なのかな。それか、私が苦手なのかもしれない。
会話が続かないところで、堅くんが飲み物を持って横から入ってくる。
「イヌピー、Aちゃんの今回もそんなに問題なさそうだよな」
「あぁ」
「ちょっとそこだけ調節するか？」
「わかった」
私が少し離れて眺めていると2人で色々と話している。
単純に私がうるさいから苦手だったのかもしれない。どことなくちょっと不機嫌そうな彼の顔が見えて、申し訳なく思えた。
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Alice(プロフ) - きなこだいふくさん» 最後までお付き合いいただきありがとうございました…！そんな風に言っていただけて嬉しい限りです…！続編を作るかもしれないので、もし作った際はぜひよろしくお願い致します♡ (2022年4月2日 17時) (
レス) id: fa28fe383f (このIDを非表示/違反報告)
きなこだいふく(プロフ) - 完結おめでとうございます。とても面白い話がたくさんあり、私自身とても楽しく読み進めることができました。こんな神作をありがとうございます！そして、更新お疲れ様でした！ (2022年4月2日 11時) (レス) @page46 id: 90c5be706c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Alice | 作成日時：2021年9月19日 20時
