Golden Age ページ1
私が知ってる―高校生だったときのキム・ジョンウンくんは。
どんなだったっけ?
決してクラス内で目立つタイプではなくて。
友達とわいわい遊んでるようなイメージもあんまりなくって。
やっぱり・・・ちょっと不良少年みたいな影のある男の子だった気がする。
私自身がその光景を見たことはないけど。
喧嘩沙汰のようなごたごた?に巻き込まれたりすることもあったみたい。
男女問わず、彼のことを怖いって思ってた子もいたんじゃないかな。
実際クラスでは少し浮いた存在だった。
もっともそれはあくまで昔の話であって。
今現在のジョンウンくんや〜あとはテレビの中で見るSJの「イェソン」からは。
かつてのそんな印象を受け取ることはまず無いのだろうけど。
私の飲んでいるスパークリングワインのグラスと。
彼―キム・ジョンウンくんが飲み干したウイスキーの。今は中身がないグラス。
こういうものを前にして。
「似合う」とか「しっくりくる」とまでには至らないながらも。
少なくとも・・・傍目からにもきっと「違和感がない」くらいにはなった私たち。
高校生なんかじゃとっくになくなっていて。
つまりは・・・ね。
もう十分にイイトシな大人ってわけで。
YS「ハハ・・・。嫌になるな、まったく」
「ジョンウンくん・・・?」
どこか自嘲気味に笑ったジョンウンくんは。
その言葉どおり―なんだかやりきれなさそうに前髪をかき上げた。
そんな仕草と同時に、彼の手にしていた煙草のものらしき香りが。
ふわりと私の鼻に届く。
こういう香りですら・・・大人だからこそ許されるものだってのに。
今夜の私たちは本当に。
いつかの時代に―迷い込んでしまっているみたい。
だけど。
「あ・・・ごめん。嫌なこと・・・思い出させちゃったみたいだね」
いくら昔のことが懐かしいからって。
あのキム・ジョンウンくんと10年越しに打ち解けてきたような気がしたからって。
あ〜〜ちょっと調子に乗りすぎたぁ・・・。
ジョンウンくんは短くなりかけた煙草を。
口の端っこで咥えたまま・・・どこか遠い目をしていた。
ついさっきまでの、お酒のおかげもあってかふわふわしていた気持ちが。
スーーっと薄れていく。頭が冷えてきた・・・ってのが正しいか。
今となっては遅すぎる自省の念がもたげてくる。
あーあ。
あーあ。
なーんで、こうなっちゃうんだろ。
彼と今夜の約束をした時点で危惧してたのに。
やっぱり・・・前のめってる私。
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作者名:Mercury zero | 作者ホームページ:http://ameblo.jp/mercuryzero/
作成日時:2019年11月11日 21時