Tonight, tonight.

レヴェルズ-YS ページ21

雇われたと思しきプロの司会者が壇上に立って、場を仕切り始めたのを合図に。
どうやらこの時間をもって―イベントが始まるようだった。


周りを見渡せば、いつの間にやらこの会場は招待客で溢れかえっていて。
だが、このイベントのコンセプトがそういうものだからなのだろう。
ビジネスライクのスーツ姿の男女ばかりだった。


それはまぁ・・・いいんだが。


「―このように、弊社による新たなエンジンシステムの開発が実現したあかつきには！
CO2を削減しつつ、環境にも負担の少ないエコドライブが可能となり―」

YS「・・・」

「2020年を到達目標に、新モデルを確立し！メカニズムだけではなくインテリアとエクステリアにおいても洗練されたデザインを―」


ほどなくして始まった、企業のプレゼンテーションの内容が。
どうしようもないくらいに・・・退屈だ。


スクリーンに映された、様々なグラフや画像のもと。
熱弁をふるっている演者には申し訳ないんだが。
さっきからそのあらゆる言葉が、耳から耳へと通り抜けてるってもんで。


ハハ・・・これが90分か。
長い、な(笑)


どうやら新開発のモーターカーのプレゼンのようだから。
そっち方面に趣きのある連中ならば。
俺にはさっぱりなこの内容に、もう少し興味を示しているのかと思いきや―


KI「くぁ・・・」

LT「しっ！ｶﾝｲﾝ〜〜せめて手で隠せって＞＜」

DH「・・・うっ」

LT「こらﾄﾞﾝﾍっ！立ったまま寝るんじゃない！」

DH「ごめ〜ん・・・。俺たちの出番まだ？」


大あくびしてるヤツと、器用なヤツ(笑)
このイベントに関しては、コイツらも俺と同じ感想を抱いているようだ。


しかし、それを周囲の連中に悟られないようにこうして努力している俺たちも。
目を光らせて俺たちを監視してなければならないﾄｩｷﾞﾋｮﾝも。
仕事とはいえ―大変なことだな。


だけど、まるで頭が追っつかない講釈のなか。
唯一・・・気に掛かったワード。


YS「2020年、か」

KH「次の。そのまた次のオリンピックの年ですね」

YS「・・・」

KH「ｲｪｿﾝﾋｮﾝ？」


俺の何気ないつぶやきを、何気なく拾ったであろうマンネに顔をのぞきこまれる。
何気ないつぶやきだから、別になんてことないことなんだが。


その年に俺たちは―
なにを到達目標にしてるのだろうか。


なんてな。


あまりに退屈すぎたこの場でふと。
まだまだ先のような。
だが、もうすぐそこに迫っているような―そんな未来に思いを馳せていた。

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