Tonight, tonight.

ガールズ・オン・ザ・ラン ページ20

「次は受付！パンフレットちゃんと用意した分あるね？！」

「はい、ありますっ！Aｵﾝﾆ！」


ジョアが両手いっぱいに抱えた数百部はあるパンフレットの束。
その半分をもらい受けながら、会場の入口前に向かう。
このパンフレット作成は彼女が担当してたみたいだから〜こうして間に合って良かったよね。


スーツに着替えていたのと同時に、靴もわずかばかりヒールのあるものに履き替えていたから。
そのちょっとした距離を急ぐのもけっこう大変。
ここからの時間は、この靴で耐久レースってわけか。


それにしても、ついさっきのSJとの打ち合わせ。
時間にしてせいぜい10分程度(笑)
簡単にどころか、ざっくりすぎもいいとこだね・・・。


だけど。


「助かったよ・・・。あの人たち短時間で、きっちり要点押さえてくれて；」

「こういうバタバタにも動じてませんでしたね？場馴れしてるというか」


SJもだし、その前に打ち合わせした司会者もそう。
さすが芸能人というべきか、プロというべきか。


SJのリーダー・ｲﾄｩｸは、こちらが伝えたいことを上手に汲み取ってくれながら。
メンバーたちにも情報が行き渡るようにか、念押しするように確認に応じてくれて。
それに熱心に耳を傾けている子もいれば。
ｼﾞｮﾝｳﾝくんは・・・なんかボーーっとしてるように見えたね(笑)


でもね・・・これがプライド高かったり、気難しい人だったりしたら。
下手すると〜怒らせかねないよねぇ；


実際、過去のイベントでもね。
対応が遅れてそうさせてしまったスターもいた。


今日のこのへんの人たちの出演交渉は、企業サイドだったり。
あとは本日病欠を決め込んで、急きょ私にこの仕事を振ってくれた課長だったりするんだけど。
人選は・・・欠点なしです！


って、課長かぁ・・・。
さっきのジョアの話じゃないけど。
ホントにプレッシャーに負けて、仮病なんて使ってるんだとしたら怒るからね(笑)


ま、でもそれは課長しか知らない真実だし。
深く考えないことにしましょう。


「さーてね！来賓客のお出迎えと行きますか、と」


代理とはいえ、私もここまで足を突っ込んでる以上。
このイベントは絶対、成功させなくちゃ。
さっき神頼みも済ませたことだしね？


うっかりすると手を切ってしまいそうな、上質紙のパンフレットの束を胸に抱え直して。
「特別ゲスト：Super Junior」―と。
そう書かれた箇所に目を落としつつ、私は先を急いだのだった。

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