Episode75 ページ40
「じゃ、お邪魔しましたー」
「いろいろありがとうございました」
ひょんなことからお泊まり会へと発展してしまった勉強会も、いよいよ終わりを迎えて皆お泊まりにしては軽い荷物を持ちそれぞれ帰路に着く準備をした。
「テスト前にもう1回集まるんだよな？」
「そうね、そこでまたいろいろ確認ごとして、テスト本番まで休みって感じかな」
「なるほど」
頑張んないとねーなんて呑気に笑う福良は、余裕の表情というのだろうか、全く緊張してないように見えて、それがかえって山本の不安を煽った。
今までの勉強は全て自分のためで、出来なかったら自己責任で完結するものだ。でも、今回は違う。点を取らないと生徒会の威信に関わるし、大切な皆の足を引っ張りたくはなかった。
物理は須貝に教えて貰えたが、まだ苦手な歴史科目が残っている。
「ねえ、こうちゃん、僕に世界史教えてくれない？」
「…」
歴史といったらやはり彼であろう。伊沢にワンツーマンで教えを乞うにはまだ少し勇気がいるため、同じクラスで1番仲のいいこうちゃんにお願いする。 しかし、こうちゃんはどこかぼーっと先を見たまま返事を返さなかった。
「…こうちゃん？」
「…え？」
「あの、世界史教えてくれないかなって」
「ああ、はい、大丈夫ですよ」
本当に大丈夫なのだろうか。佐々木さんに惚れたときとはまた違うようなかんじの虚ろさだ。
どうしたの、とか尋ねればよかったのだろうが、そのままこうちゃんは川上の方へ行き話し始めてしまったので、この心配の気持ちは静かに飲み込むしか無かった。
「大丈夫かー山本」
「須貝さん」
不安そうな顔をしてしまっていただろうか。
気づけば隣には須貝が来ていて、また山本の頭に手を置きポンポンと撫でていた。
「ちょっと、須貝さんそれやめてくださいよ、恥ずかしいでしょ」
「えー。いいだろ、置きやすいんだよサイズ的に」
「ひどい」
「冗談だって、何かあった？」
昨晩から、須貝は何かと山本に気を使ってくれていた。もちろん山本としては嬉しく、1つしか歳が変わらないのに随分大人びた人だ、と尊敬もしている。
「いえ、テスト不安だなって思ってただけです」
「あー、まあプレッシャーかかるようなこと言われたんだろどうせ。気にしないでいつも通りやれば大丈夫なんじゃないの」
「ありがとうございます」
須貝が少し照れておう、と呟く。
彼のこのちょっとした不器用さも、山本は心地よく感じた。
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Syuri(プロフ) - なつめさん» コメントにありがとうございます！やっぱり可能性コンビは可愛いですよね…私もいつもなつめさんの小説読んでによによしてます笑 これからもぜひ呼んでください！ (2020年6月4日 19時) (
レス) id: 090c01e7bb (このIDを非表示/違反報告)
なつめ(プロフ) - コメント失礼します。いつも楽しく読ませて頂いています。山本くんお誕生日…いやあ、最高でした！ラストそうきたかあー。先輩方のドタバタと、かわいい後輩くん達のやり取りが面白くって、いっぱい笑わせて頂きました。これからも楽しみにしてます！ (2020年6月4日 11時) (レス) id: 6fb7510317 (このIDを非表示/違反報告)
Syuri(プロフ) - 怜さん» 嬉しい！ありがとうございます！本気で生徒会室に冷蔵庫あるんですか！！笑 個人的に無理矢理な設定だったかな〜なんて思ったりもしていたので、ちょっと安心です笑 しかも公立高校なのにすごいですね！！コメントありがとうございました…！！ (2020年6月2日 7時) (レス) id: 090c01e7bb (このIDを非表示/違反報告)
怜(プロフ) - いつも楽しく読ませてもらってます！山本さんお誕生日回…！たくさん更新されてて1人テンション上がってしまいました笑 以外余談。私ごく普通の公立高校生ですが何故か生徒会室に冷蔵庫あります…謎の親近感を覚えて楽しかったです！笑 (2020年6月2日 3時) (レス) id: 291ffdfed4 (このIDを非表示/違反報告)
Syuri(プロフ) - (名前)豆腐さん» 本当ですかありがとうございます！！最近更新時刻がバラバラになりがちになってしまっているんですけど、そう言って頂けるともっと更新頑張ろうって思えます！これからもよろしくお願いします…！！ (2020年5月19日 16時) (レス) id: 090c01e7bb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Syuri | 作成日時：2020年5月14日 0時
