Episode60.5 ページ22
事の発端は、山本の誕生日の前日である。
「山本さん、明日誕生日だよね。」
「え、乾覚えててくれたの、ありがとう」
「スマホのカレンダーが教えてくれた。というわけで、一日早いですがおめでとうございます」
「本当だよ、明日なのに」
今日も今日とて授業を過し、乾とこうちゃんと山本は同じ机に集まって昼食をとる。
明日放課後山本さんの誕生日を祝ってどこかに遊びに行きません?と提案する乾だったが、ごめん、明日は生徒会と断られて少ししゅんとした顔をした。
「じゃあ、何か誕生日プレゼント用意しますよ。
生徒会でたっぷり祝われてきてください」
「いやぁーでも俺あの人たちに誕生日教えてないんだよなぁ」
「あ、俺朝教えといたんで、大丈夫ですよ」
え、そうなの、と驚く山本に、なんか流れで、とこうちゃんがお弁当を頬張りながら答える。
「なんか申し訳ないなぁ、気使わせてないといいけど…」
「いやいや全然そんなことないですって、むしろあの人たちサプライズパーティーやるとか言って盛り上がって…」
そこまで喋って、こうちゃんの顔がピタッと固まる。
先程まで申し訳なさそうな顔をしていた山本も、目を見開いてこうちゃんを見つめたまま固まった。
…これは、不味いのでは。
気まずい沈黙が流れる。しまった、という顔をしたままのこうちゃんに、思わず乾は「あらぁ」と言って手を口に当てて笑い始めた。
「こ、こうちゃん、これ…w」
「…山本さん、聞かなかったことにできる?」
「…ちょっと、厳しいかなぁ」
堰が切れたように、みんな一斉に笑いだした。
「うわぁ、くそ、うわぁ…」
「あーあーこうちゃんやっちゃったー」
「やべぇぇぇ…」
思わぬハプニングに、三人とも笑いが止まらない。
ひと通り笑い終わって落ち着いた頃には、もうこうちゃんが肩を落として「どうしよう…先輩に何て言おう…」とブツブツ呟いていた。
そこでピコン、と山本が何かを思いついたような顔をする。
「ねえこうちゃん、バースデーボーイの頼みってことで1つお願いがあるんだけど」
「…なんですか?」
「せっなくなら伊沢さんたちに、逆ドッキリ仕掛けてみたいんだけど!」
「…はぁ!?!?」
つまりは、こういうことなのである。
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Syuri(プロフ) - なつめさん» コメントにありがとうございます!やっぱり可能性コンビは可愛いですよね…私もいつもなつめさんの小説読んでによによしてます笑 これからもぜひ呼んでください! (2020年6月4日 19時) (レス) id: 090c01e7bb (このIDを非表示/違反報告)
なつめ(プロフ) - コメント失礼します。いつも楽しく読ませて頂いています。山本くんお誕生日…いやあ、最高でした!ラストそうきたかあー。先輩方のドタバタと、かわいい後輩くん達のやり取りが面白くって、いっぱい笑わせて頂きました。これからも楽しみにしてます! (2020年6月4日 11時) (レス) id: 6fb7510317 (このIDを非表示/違反報告)
Syuri(プロフ) - 怜さん» 嬉しい!ありがとうございます!本気で生徒会室に冷蔵庫あるんですか!!笑 個人的に無理矢理な設定だったかな〜なんて思ったりもしていたので、ちょっと安心です笑 しかも公立高校なのにすごいですね!!コメントありがとうございました…!! (2020年6月2日 7時) (レス) id: 090c01e7bb (このIDを非表示/違反報告)
怜(プロフ) - いつも楽しく読ませてもらってます!山本さんお誕生日回…!たくさん更新されてて1人テンション上がってしまいました笑 以外余談。私ごく普通の公立高校生ですが何故か生徒会室に冷蔵庫あります…謎の親近感を覚えて楽しかったです!笑 (2020年6月2日 3時) (レス) id: 291ffdfed4 (このIDを非表示/違反報告)
Syuri(プロフ) - (名前)豆腐さん» 本当ですかありがとうございます!!最近更新時刻がバラバラになりがちになってしまっているんですけど、そう言って頂けるともっと更新頑張ろうって思えます!これからもよろしくお願いします…!! (2020年5月19日 16時) (レス) id: 090c01e7bb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Syuri | 作成日時:2020年5月14日 0時