Episode51 ページ3
「…あ、」
ガラ、と響く無機質な音に、心身共に文字通りサァっと悪寒が走る。
「……!!」
恐る恐るドアを振り返ると、職員室から出てきた生徒が勢いよく踵を返そうとしていた瞬間で。
…逃げるつもりなんだ。なら、
強く地面を蹴り、すぐにそいつの後を追いかける。
「神崎さん、誰か呼んできて!早く!!」
「や、山本くん…!!」
こう見えても、中学の時に陸上部に入っていたこともあり脚力には自信がある。
「待て…!」
長い直前の廊下だ。みるみる距離は縮まり、やっとこの事で逃げるその人の腕を掴む。
「離せよ!」
「っ離しませんよ!!…あなたでしょ、データ盗ったっていう窃盗犯は…!」
うるせぇ!と言って、思いっきり足を払われる。
「う、わ、」
バランスを崩してそのまま後ろに倒れ込むものの、俺が腕を掴んだままだったのでその人も俺に覆い被さるように一緒に倒れてくる。
「…っ顔、覚えましたからね!」
すぐに立ち上がり逃げようとしていた所だったが、俺がなけなしに一言そう言うと苦虫を噛み潰したかのような顔をしてこちらを振り返った。
「っくそ、なんなんだ、お前…!」
「もう、逃げてもムダですよ。だから大人しくして……、っ!?」
いきなり喉にかかる、圧迫感。
俺の上再度のしかかってきたその人は、突然両手で俺の首を絞め始めた。
「………っは、」
「顔覚えられたんなら、気絶でもさせて忘れさせるしかないだろ…!!」
なんて奴だ。こんなんじゃ気絶云々の前に窒息死してしまう。
そしたらお前は殺人犯だぞ!と叫んでやりたいものの、強く首を締められているため声が出ない。
「……か、はっ……」
やばい、そろそろやばい。
脳に酸素が回らず、視界がぼやけてくる。
まずい、意識、飛ぶ……。
とうとう耐えきれなくなって、俺が目を閉じかけたのと同時だった。
「うわっ……!」
喉にかかる圧迫感が消え、首を絞めていた張本人の口から驚いたような声が上がったのは。
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Syuri(プロフ) - なつめさん» コメントにありがとうございます!やっぱり可能性コンビは可愛いですよね…私もいつもなつめさんの小説読んでによによしてます笑 これからもぜひ呼んでください! (2020年6月4日 19時) (レス) id: 090c01e7bb (このIDを非表示/違反報告)
なつめ(プロフ) - コメント失礼します。いつも楽しく読ませて頂いています。山本くんお誕生日…いやあ、最高でした!ラストそうきたかあー。先輩方のドタバタと、かわいい後輩くん達のやり取りが面白くって、いっぱい笑わせて頂きました。これからも楽しみにしてます! (2020年6月4日 11時) (レス) id: 6fb7510317 (このIDを非表示/違反報告)
Syuri(プロフ) - 怜さん» 嬉しい!ありがとうございます!本気で生徒会室に冷蔵庫あるんですか!!笑 個人的に無理矢理な設定だったかな〜なんて思ったりもしていたので、ちょっと安心です笑 しかも公立高校なのにすごいですね!!コメントありがとうございました…!! (2020年6月2日 7時) (レス) id: 090c01e7bb (このIDを非表示/違反報告)
怜(プロフ) - いつも楽しく読ませてもらってます!山本さんお誕生日回…!たくさん更新されてて1人テンション上がってしまいました笑 以外余談。私ごく普通の公立高校生ですが何故か生徒会室に冷蔵庫あります…謎の親近感を覚えて楽しかったです!笑 (2020年6月2日 3時) (レス) id: 291ffdfed4 (このIDを非表示/違反報告)
Syuri(プロフ) - (名前)豆腐さん» 本当ですかありがとうございます!!最近更新時刻がバラバラになりがちになってしまっているんですけど、そう言って頂けるともっと更新頑張ろうって思えます!これからもよろしくお願いします…!! (2020年5月19日 16時) (レス) id: 090c01e7bb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Syuri | 作成日時:2020年5月14日 0時