Episode60.5 ページ19
「須貝さんどうしました…?もしかして、生徒会室行くの俺だけでしたか」
「いや、うーん、ちょっと待ってな」
頼む、もう限界だ、誰でもいいから早く来てくれ。
そろそろどうしようもない雰囲気に差し掛かり、須貝が思わず心の中でそう願ったとき。
「須貝さん!!!」
川上が、全力疾走で須貝と山本のところまで走ってきた。
「川上ー!!」
「川上さん、どうしたんですか」
ゼェゼェと息を吐く川上に、山本が思わず大丈夫ですか?と尋ねる。
大丈夫ではない。こんなに全力で走ったのは中学生の体育祭以来だ。
「ぐ、偶然ですね須貝さん…」
「…川上、お前ほんとに大丈夫か?」
「須貝さんこれから、どちらへ伺うつもりですか。生徒会室ですか。そうですよね。伊沢さんにその荷物を届けに行くんですよね」
「…はい」
「今生徒会室、ある会議で使用禁止状態になってるんで。同じクラスの自分がその荷物届けとくんで。それでは、失礼します」
そのまま、川上は須貝の持っていたケーキを引き取って生徒会室へ戻って行った。もうヘトヘトなのか、その背中は若干頼りない。
「……なんだったんでしょうか…」
「あいつはすごいやつだよ」
「…はい?」
「いや、何でもない」
とりあえず、生徒会室には入れないらしいな。残念!教室に戻りな!俺の教室はこっちだから、と言って、山本の後ろ背中を見送る。
「あ゛ー、あぶねー…」
嫌な汗かいちまったぜ全く、と言い、須貝はその場に腰を下ろした。LINEを開き、助かった、とお礼の連絡を入れる。
そのとき、生徒会の全体グルに、山本からのメッセージが来ていたことに気付いた。
「…やばいじゃん」
ちらりと自分の腕時計を見やる。まだ昼休みが終わるまでの時間は十二分にある。
ふぅ、と大きく息を吐いた須貝は、立ち上がり職員室へと行き先を変えて歩き始めた。
バタン、と大きな音を鳴らして扉が閉じる。
「死守、しました…」
げっそりと疲れた顔をした川上は、ケーキを机の上に置くとへにゃりとその場にしゃがみこんだ。
「よくやった川上!!」
「ファインプレー!!」
「お疲れ!!ありがとう川上!!」
皆が手を叩きながら、そしてある者は大爆笑しながら各々川上の活躍を褒める。
川上とて、自分が行きたくて行ったわけではない。
皆がええ、やばいじゃん!なんて呑気にしてるもんだから仕方なく動いたのだ。
川上はお役御免のこうちゃんを恨みながら、大きくため息を吐いた。
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Syuri(プロフ) - なつめさん» コメントにありがとうございます!やっぱり可能性コンビは可愛いですよね…私もいつもなつめさんの小説読んでによによしてます笑 これからもぜひ呼んでください! (2020年6月4日 19時) (レス) id: 090c01e7bb (このIDを非表示/違反報告)
なつめ(プロフ) - コメント失礼します。いつも楽しく読ませて頂いています。山本くんお誕生日…いやあ、最高でした!ラストそうきたかあー。先輩方のドタバタと、かわいい後輩くん達のやり取りが面白くって、いっぱい笑わせて頂きました。これからも楽しみにしてます! (2020年6月4日 11時) (レス) id: 6fb7510317 (このIDを非表示/違反報告)
Syuri(プロフ) - 怜さん» 嬉しい!ありがとうございます!本気で生徒会室に冷蔵庫あるんですか!!笑 個人的に無理矢理な設定だったかな〜なんて思ったりもしていたので、ちょっと安心です笑 しかも公立高校なのにすごいですね!!コメントありがとうございました…!! (2020年6月2日 7時) (レス) id: 090c01e7bb (このIDを非表示/違反報告)
怜(プロフ) - いつも楽しく読ませてもらってます!山本さんお誕生日回…!たくさん更新されてて1人テンション上がってしまいました笑 以外余談。私ごく普通の公立高校生ですが何故か生徒会室に冷蔵庫あります…謎の親近感を覚えて楽しかったです!笑 (2020年6月2日 3時) (レス) id: 291ffdfed4 (このIDを非表示/違反報告)
Syuri(プロフ) - (名前)豆腐さん» 本当ですかありがとうございます!!最近更新時刻がバラバラになりがちになってしまっているんですけど、そう言って頂けるともっと更新頑張ろうって思えます!これからもよろしくお願いします…!! (2020年5月19日 16時) (レス) id: 090c01e7bb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Syuri | 作成日時:2020年5月14日 0時