キ ミ の 特 等 席 【橙】

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るぅとくんが帰ってから、
僕はひとり、PCに目を向けていた。



最初から分かってたの。

Aちゃんとジェルくんが、一緒にいるとこを見て
なんとなく、分かってた。



その時のジェルくんは、
ぜーんぜん、彼女の気持ちも自分の気持ちも
分かってなくって。

でも、彼女はきっと…
ジェルくんのことが好き…なんだと思う。


考えたくないけどさ。




分かってる上での戦いって
無駄なんだけどさ、

やっぱ僕も男だから、
どうにかしてオトしたいって思うし、

欲しいものは手に入れたい、なんて思っちゃう。



だって好きなんだもん…

勝ち目のない恋愛だと理解してても…
振り向いて貰えない恋愛だと理解してても…


それでも、僕は
"相川 A"という女の子が好きなんだもん。




負けを認めたくなくても、
認めなきゃいけないの。






こ「…？」

たぴ「くぅぅん…」

こ「ふふ…たぴちゃん心配してくれてるの？
君は優しい子だね。」





愛犬のたぴちゃんを抱っこして
ぎゅっと抱き締める。

きっと、たぴちゃんなりの慰めなんだと思う。


ありがとうね、
弱ってる僕に気づいてくれて。





たぴ「くぅん…」

こ「なになに！そんな心配してくれるの？
ありがとうね？…………ふ…うぅ…ぐすっ…」






本気だったの。

短い期間だったけど、
僕なりに本気で彼女が好きだったの。



ねぇ、ジェルくんも本気だよね？

諦めるなんて言ったら許さないから。





僕の気持ち、汲み取ってよね。





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