キ ミ の 特 等 席 【橙】

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『お待たせしましたー』

ジ「お！ありがとぉ、美味しそうやなぁ〜！」

『紅茶、絶品なんで良ければ』

ジ「ありがとぉ！…この前はごめんな。」

『え？』




さっきまでの笑顔が嘘だったかのように、
急にしょんぼりした顔になる彼。

何を謝ってるのか分からない。


そんな顔、しないでよ……





ジ「ころん、余計なことばっか言うてたやん？」

『あ…』

ジ「ほんまはころん、ええやつなんよ？
たまに周り見えんようなるときがあんねんけど、
基本ええ奴やから！仲良ぉしてやってや」

『あ…はい、分かりました』





なんで？


なんで、ころんさんのこと話すの？

しかも、仲良くしてやってって…



そんなの、私、振られてるようなものじゃん。



いくらジェルさんに彼女がいるからって
私はこの気持ちを伝えることすら…

ダメだって言うの……？


そんなの…あんまりじゃん……





ジ「……あー…やっぱ無理かも。」

『ジェルさん？』

ジ「……なぁ、相川さん。」

『…はい？』

ジ「俺もAって呼んでええ？」





なんなの…急に……

振ったような言い方した後に
そんな勘違いさせるような物言いと表情、

やめてよ…



貴方にそんなこと言われたら、
"No"なんて言えるはずないのに……

本当に貴方は、ずるい人だ。





『……いいですよ』

ジ「やった！嬉しいわぁ」

『…いいですけど、
彼女さんに勘違いされないようにして下さいね』

ジ「だからそれは…」

『では、ごゆっくり！』





彼女の話なんて聞きたくない。

彼の口から"遠井さん"なんて聞きたくない。


私から持ちかけた話題なのに
聞きたくない、なんて自分勝手すぎるよね。




私、いつからこんな扱いづらい人間に
なっちゃったのかな。





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