先輩と殺し屋さん【橙】

DAY 7 . ページ24

.





最終日。

辺りは薄暗い。


本日は運良く部活動生もおらず、
今現在、教室に私と先輩の2人きり。

そして屋上からスナイパーで
こちらを伺う兄の姿が見える。



私も制服の内ポケットに
拳銃を隠している。

こいつで今日、目の前の彼を殺す。






『先輩』

ジ「ん？どうした？」

『今から私が言うこと、
ちゃーんと聞いててくださいね。』

ジ「ん、わかった。」





静かな校舎内。

周りから音なんて聴こえない。
聞こえるならきっと、私の鼓動かな。


私は彼を殺す前に、
ひとつ、彼に言わなきゃいけないことがある。

それは……







『ジェル先輩、好きです』

ジ「…」

『突然ですが、死んでください。』







スチャっと拳銃を彼の脳天目掛けて
狙いを定める。

きっと彼から見る私は冷酷そのものなんだろう。



これでいい。

これで、良かったんだ。




引き金を引いて、
後は撃つだけのところで

目の前の彼は口を開いた。






ジ「…Aちゃん。」

『…なんですか。』

ジ「俺も、俺も君が好きやねん。」

『は……？』






予想もしない言葉に
私は驚きが隠せなかった。

聞き間違えじゃなければ、
"私のことが好き"って言ったよね…？




あぁ、手が震えて仕方ない。

狙いが、定まらない。







『ざ、残念だけど。
先輩、貴方にはここで死んでもらいますよ。』

ジ「うん、わかった。」

『は…！？なんでそんなあっさり…』

ジ「うん、俺今から殺されるんやろ？















知ってたで。
君が殺し屋やってこと。」





.

.→←.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す