Femme Fatale【stxxx】

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【side Rinu】





俺は今、走っている。

彼女を見つけるために。



なんのあてもなく探すなんて、
無駄だというのに、
俺はずっとスマホ片手に探している。


もしかしたら、彼女から電話が掛かってくるかもしれない。

そんな期待を、そんな希望を抱いちゃってる。



こんな事になるなら、
あの時無理やりにでも一緒に逃げていた。



彼女の手を引いて、駆け落ちしてれば
良かったのに。





さ「莉犬っ…！！」

り「さとちゃっ…はぁっ……居た…？」

さ「いねぇ…」

り「ふっ、うっ…」

さ「泣くな、莉犬。」





最悪だ。
涙なんて見せたくなかったのに。

しかもよりによって、さとみくんに…





さ「俺、この付近探してみるから
莉犬はあっち付近頼むな。」

り「う、うん…」






好きな人が同じっていうライバルに
こんな惨めな姿を見せてしまって

恥ずかしいものだ。



いつもいつも、最年長の彼に
助けて貰ってばかりだ。

ここぞとばかりに、彼は俺を見つけては
助けてくれる。


俺だって、さとみくんを助けたいよ…
君だって我慢してるだろ。

好きな女が居なくなったんだ、
誰かに縋りたい気持ちでいっぱいでしょ。




分かってるよ、さとみくん。

つらいよね、分かるよ。






強がらせてごめんね。

見栄を張らせてごめんね。




きっと、強がんなくていいって言っても
君は"強がってない"って、否定するんでしょ？





でも、さっき見た瞬間に分かったよ。





その、泣き腫らした目を見れば、
そんなの肯定してるのと一緒だよ。





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