Femme Fatale【stxxx】

＿crazy 8 . ページ29

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今日のさとみくんは怖い。

この前の優しい彼はどこに行ったのかと
疑うほど、今日は乱暴だ。


あぁ、キスマークなんかつけちゃって。


やめてよね、
みんなの体、みんなの私なんだから。





『さとみくん』

さ「……」

『苦しいの？』

さ「………好き」

『……ごめんね、さとみくん』

さ「好きなんだよ、俺。誰よりもお前のことを
愛してるんだ！」





そんなの、あなただけじゃない。

みんなそう言ってくれる。


あなたが、迎えに来てくれるなら
私はそれに応じよう。


私の特別になりたいなら、
私の王子様になってよ…





『さとみくん』

さ「好きなんだよ、俺は…」

『私もだよ、さとみくん』

さ「俺だけを見てほしいのに…」

『それは…出来ない。』






彼らに酷なことをしているのは分かっている。

でもそれを認めたのは、
でもそれを分かっていたのは、

貴方たちだと思うの。



私は傲慢で強欲で欲張りで我儘な
性格の悪いお姫様だから。



それを知っての上で近づいてきたのは、



貴方たちだと思う。





さ「俺、迎えに行ってもいい…？」

『え？』

さ「俺が、お前の王子様になってもいい…？」





こんな弱々しい彼は初めて見る。

いつも余裕ありげで自信満々な彼。
そんな彼がこんなに弱っているなんて、

貴重だ。






『誰よりも先に、迎えに来て』

さ「約束する。」

『嬉しい。さとみくん、もっとさとみくんが欲しいよ。』

さ「っ…可愛すぎんだよ、バカ。」






優しく私を抱きしめてくれる彼。




ごめんね、さとみくん。

いや、ごめんね、みんな。





"好き"って言えなくて。





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