裏切られるくらいなら、愛なんていらない【鬼滅の刃】

拾参 ページ16

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あれから私は義勇と悲鳴嶼さんに手を引かれ、義勇のお屋敷に来ていた



冨「ここなら誰かに聞かれることはない
…何があったか話せるか？」

『…端的に言えば舞香にはめられた？』

悲「…なんて哀れな…」

『！…悲鳴嶼さんヒドイです！』


なんて冗談で言えば“す、すまない”と少し困った顔で言う





『…何でこんなことになっちゃったんだろうね』

何の考えもなくポロッと口からこぼれた言葉
言った後にバッと口をおさえ、“い、今のなし！”と必死に言う


案の定、辺りは静まってしまい沈黙が流れる


冨「…お前はどうしたいんだ」

『…え？』


沈黙を切った義勇の言葉に首を傾げる


冨「あの女がやっていることを御館様に伝えればそれ相応の処分を下してくださるはずだ」

『……うん…そうだけど』


義勇の言う通り……だけど


『もう少しだけ様子を見てみようかな、って』

悲「……情けはいらないぞ」

『！…もちろんです』


あの女に情けなんてかけるつもりは無い

私が心配しているのは舞香がいなくなったあと、
果たしてみんなは元通りに戻るかということ


冨「…情けをかけていないのならいい
だがA…何か隠しているだろう」

『！！…か、隠して、ない』

悲「…隠し事をするとは……南無阿弥陀──」

『あ、あぁーもう！上弦と会ったの！！』

「「！？」」


次の柱合会議まで秘密にするはずだったのに！
悲鳴嶼さんが南無阿弥陀仏とか言うから！


冨「いつ会ったんだ！！怪我は無いのか！？」

悲「位はなんだ！……まさか…倒したのか？」

『位は参……まぁ倒せなかったですけどね』


なんだ倒してないのかって思われているだろうな


『あはは…倒せなくて申し訳ないです…』

って言ったらいきなり頭をグシャグシャと思い切り撫でられた



悲「……よく頑張った」

冨「謝る必要は無い
Aがいつも言ってるだろう、生きていればそれでいいと」

『う、ん……ありがと』



あぁ、また罪悪感
2人はこんなにも私を思ってくれているのに、また私は逃げている


猗窩座との決戦をまだ私は誰にも言っていない

それはもっとみんなが団結してからの方がいいと思っているから


……でも考えてしまった


本当は迷っているのではないのか、と




“お前も鬼にならないか”

今、この時でさえも猗窩座の言葉が頭から離れない



別に鬼になりたいわけじゃない
ただ今の環境が嫌なだけ



……こんなことを思う私はきっと
みんなが言うようにおかしいんだろうな

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