第百二十七訓 ページ29
Aside
一粒の涙が頬を滑り落ち、私は目を覚ました。
思い…、…出した…。
私の本当の名前は"吉田 A"。
大好きな父と銀時と育ち、大切な友と共に父を救う為に剣を握り、戦った。
そして、私は…
父と最後に交わした約束も果たせないまま
死んだんだ。
(お父さん…)
あの子が死んだ後、きっと私達は負けた。侍が負けたからこそ今のこの国があるんだ。
銀時「A、目ぇ覚めたか」
目を覚ました私に気づいて駆け寄ってくる銀時とその後ろで私を心配そうな様子で見つめる小太郎の姿。理解したくなくても、理解してしまう…戦のその後の結末を。
優しい小太郎なら攘夷志士なんてとっくにやめてる。
私の大好きだった晋助が…今尚"鬼兵隊"を率いて「攘夷志士の中で最も危険な男」と呼ばれてるはず、ない。
銀時だってさ…"松陽が生きてたら"今でも一緒に居るでしょ?
「ぎん、とき…私…」
"記憶が戻ったの"そう言いかけて、口を噤んだ。代わりに不思議そうに見つめる銀時に笑みを浮かべ、
「ううん、何でもない。心配かけてごめんね」
銀時「いや、別にいいけどよォ…もう平気か?」
「うん、もう大丈夫」
"記憶が戻った"
そう話してしまったら…優しい銀時は今一層、私に罪の意識を抱くと思った。
(銀時…、…嘘つきで、ごめんね)
本当は、記憶が戻るのを望んでいるのかもしれないけど、"中沢 A"ではなく"吉田 A"を求めているのかもしれないけど、伝えられなかった。
私のエゴだってわかってる。でも…これ以上、罪悪感で苦しむ貴方を見たくないの。
銀時から小太郎に視線を向ける。心配そうに様子を伺っていた小太郎はビクっと反応を示した。銀時も「やべっ」と慌てる。
「まって…!」
隠そうと決めた。けど…どうしても伝えたかった。
真選組である私の前から逃げようとする後ろ姿を、咄嗟に呼び止めて。
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うさきよ - 面白いです‼ (9月1日 1時) (レス) @page42 id: 55ad19f9cc (このIDを非表示/違反報告)
kon(プロフ) - 砕けちゃいかんでしょう(笑)それから、本当に更新してくださりありがとうございます! もう一度最初から読ませていただいたのですが・・・やっぱりこの作品が大好きです! これからも頑張ってください (2022年8月24日 17時) (レス) id: e47e7d9c51 (このIDを非表示/違反報告)
迷い猫(プロフ) - konさん» kon様コメント有り難う御座います。幸せです。うぅー(泣)優しいお言葉ありがたい(´;Д;`)目から汗が…。沢山妄想はしてるのですが…なかなか文字に起こさなくなってしまって。書いて消してを繰り返してました。でも、これからは当たって砕けろで更新します!(笑) (2022年8月24日 1時) (レス) id: b045a615ae (このIDを非表示/違反報告)
kon(プロフ) - 一気読みさせていただきました! すっごく面白くて最高です!! 本当に毎日更新なんていいません、どうかお体に気をつけて更新頑張ってください! (2022年6月21日 16時) (レス) id: e47e7d9c51 (このIDを非表示/違反報告)
迷い猫(プロフ) - れいさん» おぉぉお!!コメントありがとございます😭そーなんです、ぼちぼち明かして行こうと思ってますッ!!応援よろしくお願いします🙇♀️ (2022年6月19日 0時) (レス) id: b045a615ae (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:迷い猫 | 作成日時:2022年5月17日 19時