其ノ肆拾伍 精霊遣いと悪鬼 ページ46
「私が貴方を斬る」
私が鞘から日輪刀を抜くと、余裕のある愉しげな表情で私を見た。
「へぇ。あんた、鬼殺隊だったの?隊服着てないから、旅人か何かかと思ったよ。けど、鬼殺隊なんて怖くないさ。俺は何人も鬼殺隊の人喰ってるし、それに───」
「煩い」
私がそう言うより早く、彼の腕が燃え落ちた。
すると、彼は驚いたように腕を見た。
そして、私を見た瞬間、恐怖の空気に変わった。
それはそうだろう。
だって私は今、刃に炎を纏わせ、周りに火の球を浮かせているのだから。
「あ、あんた…まさか、精霊遣い…?」
「そうだよ。精霊遣いのこと、知ってたんだ」
「し、知ってるも何も…!そんな…!だって、精霊遣いは絶滅したって…!」
「誰に聞いたの?」
「い、言えるわけないだろ?!言ったら死ぬんだから!」
「そう」
ということは、あの日、私の両親を殺したのは鬼舞辻無惨…?
でも、アニメで見た鬼舞辻とは随分姿がかけ離れていた。
なら、誰…?
兎に角、この人を斬らなければ、また誰かが喰われてしまう。
私は刀を構えると、彼は逃げようとした。
私は彼の周りに火の海を作り、逃げられないようにして、近づく。
「クソッ…くらえ!!!」
すると、彼は斬っていない方の手を巨大化させて、火のついた地面を抉り、投げてきた。
でも…
「効かないよ?」
私は水の精霊の力で炎を消し、大地の精霊の力で土を分解した。
彼は、怯えたように後ろへと下がっていく。
そんな彼の体に火の球をぶつける。
「ギャアアアアア!!!熱い熱い!!!!」
確かに熱いだろうな。
火の球の色は赤ではなく白。
でも、それだけじゃ悪鬼は死なない。
私は炎を消して彼に近づいた。
「許してくれ…悪かった…俺が悪かったから…」
「貴方は沢山の人の命を奪った。それは紛れも無い事実。そして、決して許されない行為。その事をしっかり覚えていて」
「分かった!!分かったから命だけは…!」
私は、命乞いする彼を見て、一瞬で怒りが収まってしまった。
許すつもりはない。
けれど、結局彼も、きっと鬼になりたくてなったわけじゃないんだろう。
生きる為に必要だったのかもしれない。
私は静かに首を振って、刀を振るった。
せめて、彼が来世で幸せに生きられるように…
「空の呼吸 漆ノ型 夜半の月光」
日輪刀が名前の通り月光のような光を放ち、頸を斬った。
「どうか、安らかに…」
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抹茶うさぎ@琥珀(プロフ) - あやめさん» 嬉しいです!1ヶ月近く更新出来ずにすみません…。早く新しい話を読んで頂けるように頑張ります!コメントありがとうございました! (2020年5月30日 22時) (レス) id: 00cd6a155e (このIDを非表示/違反報告)
あやめ(プロフ) - とても面白かったです!これからもがんばってください!更新お願いします!!! (2020年5月30日 21時) (レス) id: 2cb5bf810d (このIDを非表示/違反報告)
抹茶うさぎ@琥珀(プロフ) - (=゚ω゚=)にゃあ@サブ垢さん» はじめまして!型の提案ありがとうございます!とても良いですね!是非採用させてください!説明もつけて頂きありがとうございます! (2020年4月15日 8時) (レス) id: 606e94aca2 (このIDを非表示/違反報告)
(=゚ω゚=)にゃあ@サブ垢(プロフ) - はじめまして。型のことですが、「巻雲・天波虹」けんうん、あまはにじ というのはどうでしょう?説明半円を描くように何回も切る。それは相手には遅く見えるが、実際はものすごい勢いで切りつけている…的な。 (2020年4月15日 2時) (レス) id: ed1bcccac4 (このIDを非表示/違反報告)
抹茶うさぎ@琥珀(プロフ) - チョコさん» 了解です!返信ありがとうございます! (2020年3月13日 11時) (レス) id: 00cd6a155e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鷹麦 | 作成日時:2019年12月21日 19時