【鬼滅の刃】精霊遣いは鬼滅の刃の世界に来たけど、原作ぶっ壊れ過ぎて混沌だった！

其ノ参拾壱　「ただいま」と「おかえり」 ページ32

sideしのぶ

突如治療したいと、部屋を訪れたAさんは空中に現れた百合さんという方と合わさって、姉さんを光で包み込んだ。
その光景は、まるで別の空間に居るような感じで、ただぼうっと立っている事しか出来なかった。

気がつくと治療は終わっていて、Aさんが倒れそうなところを間一髪で支えた。
その身体はとても軽くて、しっかりご飯を食べているのかしらと、関係ない事を考えてしまった。
暫くして、Aさんが自分で立てるようになった後、彼女は少し微笑んでこう言った。


「治療は成功ですよ、しのぶさん。カナエさんは今まで通り過ごすことができます。もうじき目も覚ますでしょう」


“今まで通り過ごすことができる”？

“もうじき目も覚ます”？

突然言われたことに思わず目を見開いていると、Aさんは「じゃあ、私はカナヲ達を呼んできますから、しのぶさんはカナエさんの側に居てあげてくださいね」と言って、部屋を出て行った。
私は、どうすれば良いのか分からず、姉さんの側の椅子に腰掛けて、姉さんの手を握った。


「姉さん」


無意識にそう呼んで、少し力を込める。
疲れていた目を閉じてうとうとしていた。
その時、僅か少しだけれど、握り返されたような感覚がした。
まさかと思って、目を開くと…


「しの、ぶ」


一週間ぶりに見た姉さんの藤色の瞳が目に入る。
そして、あの優しい、愛おしい姉さんの、いつもより少し掠れた声が耳に入った。


「姉さん…姉さん…！」


私は無我夢中で姉さんに呼び掛けた。
姉さんは握っていない手をゆっくり伸ばして、私の頬に触れて微笑んだ。
嗚呼…温かい。
ちゃんと、生きている。


「ただいま…しのぶ…。遅くなって…ごめんね」


「本当に、遅いよ…。おかえり、カナエ姉さん…！」


良かった。
ありがとう、Aさん。
カナエ姉さんを救ってくれて。

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