其ノ弐拾伍 負の感情より笑顔を ページ26
sideA
カナエさんが死ぬのを防いだ後、カナエさんは疲れてしまったのか、私達を抱き締めたまま寝てしまった。
その直後に来たしのぶさんと、カナエさんを蝶屋敷に運んで、しのぶさんに治療してもらった。
私には、殆ど医療の知識はないからね。
しのぶさん曰く、血鬼術の所為で、傷は浅くは無かったけれど、呼吸で止血したお陰で命に別状は無いらしい。
私達はほっとした。
だけど、それは一瞬だった。
命には別状は無いが、体の中の一部が負傷してしまい、全集中の呼吸 常中をすることが出来るか出来ないかぐらいらしく、恐らく柱はどころか鬼殺隊を続けるのは難しいかもしれない、としのぶさんは言った。
その彼女の空気は悲しさと悔しさで溢れていて、私はどうしたら良いか分からず、とりあえず頭を撫でた。
「Aさん…?」
「カナエさん、文通で何時も書いてました。『しのぶとカナヲの笑顔は私の力になる』って」
「!」
「何時も無理に笑っていろとは言いません。けれどしのぶさん、まずは、カナエさんが生きて帰って来たことを喜びませんか?」
何と言ったら良いのか分からず、思った事をそのまま言うと、しのぶさんは目を見開いて驚いたような空気に変わった。
「そう…ですね。大切な姉が、此処に帰って来てくれた…。それで充分ですよね。良かった…姉さんが無事で…」
そして、泣きながら笑った。
その笑顔はとても綺麗で、私も思わず笑顔になる。
多分、後ろに居た二人も微笑んでいたと思う。
しのぶさんが泣き止んだ時には気がつくと朝になっていてた。
そして、鎹鴉にお願いしていた、伯父様に宛てた手紙の返事を読み、蝶屋敷を出ようとすると、後ろから声を掛けられた。
「Aさん!錆兎君!真菰さん!」
「しのぶさん?」
「「?」」
珍しく廊下を走って来たしのぶさんに、私達が何事かと首を傾げると、頭を下げた。
私達は突然の出来事に目を丸くする。
「姉を助けてくれて、ありがとうございました…!」
私達はその言葉に、顔を見合わせて微笑んだ。
やっぱり、しのぶさんとカナヲにはカナエさんが大切なんだよね。
「顔を上げてください、しのぶさん。カナエさんには沢山感謝しているし、貴女方の笑顔も見れるし、お気になさらないでください!」
私がそう言うと、しのぶさんは顔を上げて、目をぱちぱちと瞬かせた後、何が可笑しいのかふっと笑った。
私は首を傾げつつ、錆兎と真菰と共に伯父様の所へと向かった。
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抹茶うさぎ@琥珀(プロフ) - あやめさん» 嬉しいです!1ヶ月近く更新出来ずにすみません…。早く新しい話を読んで頂けるように頑張ります!コメントありがとうございました! (2020年5月30日 22時) (レス) id: 00cd6a155e (このIDを非表示/違反報告)
あやめ(プロフ) - とても面白かったです!これからもがんばってください!更新お願いします!!! (2020年5月30日 21時) (レス) id: 2cb5bf810d (このIDを非表示/違反報告)
抹茶うさぎ@琥珀(プロフ) - (=゚ω゚=)にゃあ@サブ垢さん» はじめまして!型の提案ありがとうございます!とても良いですね!是非採用させてください!説明もつけて頂きありがとうございます! (2020年4月15日 8時) (レス) id: 606e94aca2 (このIDを非表示/違反報告)
(=゚ω゚=)にゃあ@サブ垢(プロフ) - はじめまして。型のことですが、「巻雲・天波虹」けんうん、あまはにじ というのはどうでしょう?説明半円を描くように何回も切る。それは相手には遅く見えるが、実際はものすごい勢いで切りつけている…的な。 (2020年4月15日 2時) (レス) id: ed1bcccac4 (このIDを非表示/違反報告)
抹茶うさぎ@琥珀(プロフ) - チョコさん» 了解です!返信ありがとうございます! (2020年3月13日 11時) (レス) id: 00cd6a155e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鷹麦 | 作成日時:2019年12月21日 19時