fruit of our love (青) 〜追い恋 2nd〜 (9)

場違い ページ5

章「飯行こか？」

『うん。行く！』

病院の中にあるおしゃれなカフェ。
平日だから人もまばらで、奥のソファー席に座った。

「俺ちょっと着替えてくるけどいける？」

『うん、大丈夫！』

「あー、、緊張してきた、、」

『ふふっ(笑)』

章ちゃんと違って、私は結構落ち着いてる。

「A怖ないん？」

強いなぁ、って言うけど、

『目の前でそんなに緊張されたら落ち着かなきゃ！って思うもん(笑)』

「俺かーい(笑)！」

・

「ほな、またすぐ戻ってくるから。」

『うん、急がなくていいよ(笑)』

章ちゃんが待ち合いまで送ってくれて、
じゃあね、って軽くハグしてうちに戻った。

『すみませーん、、』

ナースステーションに声をかけたら、

助産師「あ、安田さん、、かな？」

『はい、安田Aです。』

助「安田さんの担当の辻川です。よろしくお願いします(^_^)」

『お願いします。』

辻「まだ余裕そうね(笑)」

『はい、ご飯もたくさん食べれました(笑)』

辻「陣痛室に案内しますね。」

辻川さんがボストンバッグを持ってくれて、分娩室の隣の部屋に案内された。

ベッドは８台ほどあって、５台ほど埋まってる。

私が入れば結構いっぱいだ。

「いたーい(泣)！」
「、、まだですかー(汗)！」

『、、』

今正に陣痛のピークの人も数人いて、、

私の隣の人はさっき生まれたばかりみたいで、

助「お疲れさま、ゆっくり休んでね！」
「はい、ありがとうございます。」
夫「ありがとうございました！」

奥さんの穏やかな声色と旦那さんの泣きそうな声色で、幸せが伝わってくる。

辻「のんびりテレビでも見ててね。」

『はい。』

辻川さんは忙しそうに行ってしまった。

やることがなくって、

(章ちゃん、もうすぐ来る？)

ってLINEしたら、

ー 生まれる？ ー

って返ってきたから、

(ひまー)

ってまた送り返した。

ー 今から家でるー何かいるもんない？ ー

(テレビのイヤホンとお菓子。)

ー 了解 ー

あと30分くらいかな、、

カーテンの向こうはバタバタしてる。
誰かが分娩室に入ったみたい。

『いたた、、』

ちょっと痛みが強くなってきた。
まだ30分おきくらいだけど。

午後２時。
やることがなくて携帯をいじってたら、

「入るで？」

『お帰り♪』

章ちゃんが帰って来た。

「すげーな、バタバタしてる。」

『うん、多分私だけ場違い(笑)』

「まあ、のんびりしよか(笑)」

章ちゃんが袋からお菓子とイヤホンとファミリー向けの旅行雑誌を取り出した。

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