対処法127 ページ36
·
無言でツーっと涙を流す私にスコッチがぎょっとする。死んでるからとかじゃないんだよ……食事は心の栄養補充なんだよ……娯楽でもいいじゃないか……
食費がなんぼのもんじゃ。私がスコッチをヒモにしてやる。
『食べましょ……』
「わ、分かっ、た………」
えぐえぐとしゃくりあげながらスコッチのパーカーの裾を掴むと、スコッチが戸惑いながらも承諾してくれた。折れたとも言う。
そして何を思ったかしくしくと萎れている私の頭に大きな手をのせ、それからぐしゃりとかき回した。伝わる温もりに私の心肺が一瞬停止する。え? 命日???
「俺の事、気遣ってくれたんだよな。悪い」
『え!? いや、これはワガママといいますかなんといいますか、エゴイズムの塊と言いますか、むしろ申し訳ありませんといいますか』
「はは、分かってるよ」
嬉しいと思ってしまって、悪い
景光はその言葉を喉奥で噛み殺し、淡く笑んだ。言う必要のない言葉だ。顔を出した依存という仄暗い劣情を隠す為の笑みである。
「感謝してる。代わりにすらならないけど、家事とかなら俺に任せてくれ。やれるだけの事は全部やらせて貰う」
『え”!!?』
踏まれたカエルの様な声が漏れた。
それはすなわち推しに雑用をさせるという事では…?
私は大慌てで両手を前に突き出した。前髪の下にじっとりと冷たい汗が浮かんでいる。流石にそれは不味すぎる。無礼すぎる。
推しと同じ次元に存在している弊害がこんな所で出るとはおもわなかった。それは犯しちゃいけない
『そ、そんなことさせられません!! 私が死にます!』
命の危機を感じながら歯をガタガタいわせていると、突き出していた両手を誰かに握られた。誰に?
「女のコに黙って世話になるなんて出来ない。俺に恥を欠かせないでくれ」
『み”』
顔の造形が500000000億兆点〜〜〜〜
顔が良いという事以外何も分からなくなり、私は訳も分からず頷いた。盛大に自爆しちまったな。未来の自分の首を握力2000で締めている。
でもまあ推しの要求に勝てるオタクなどオオカワウソより少ない絶滅危惧種なので、元より私の勝ち目は0である。私はNOと言えないオタク………
「分かって貰えて良かった。これからは気兼ねなく何でも言ってくれ」
『はい…………』
.
4882人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「名探偵コナン」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
レモン - めちゃおもろいです!!夢主ちゃんの性格大好きです!更新楽しみにしてますっ! (12月12日 10時) (レス) @page43 id: 18ff82607c (このIDを非表示/違反報告)
はる - 初コメ失礼します!!この小説大大大大大好きです!!これからも頑張ってください!!応援しています!! (11月14日 20時) (レス) @page43 id: 41084e4d77 (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - イヤァァァァアオワッタ好きですで (9月18日 15時) (レス) @page43 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
猫目 - すごく好きです (7月15日 14時) (レス) @page43 id: 5daa8eb0a9 (このIDを非表示/違反報告)
泉 - 真咲さんカッコイイ❗更新頑張って下さい!😆 (7月5日 23時) (レス) @page42 id: 5bd30ec6cb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:りんず | 作成日時:2019年12月28日 20時