対処法121 ページ30
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つけこんでみたくなるのは、決して、自分だけのせいじゃない。
そんな風に言い訳して、自分はあとどれくらい彼女に迷惑をかけるのだろう。自分は死んでいて、このこは生きている。どうしたって変えられない。居場所をもらうなんて馬鹿げている。
でも手放すという考えができない。このこが居なくなったら、もう誰も俺を見てくれない。たった一人、俺を見てくれる人が消える。それって、もういっかい、死ぬってことだろう?
そんなの、ただただ、恐ろしかった。あぁ、俺はこんなに臆病じゃないと思っていたのに。
一度諦めた命を、このこが拾い上げたせいで、惨めったらしく命が惜しくなってしまった。死ぬのが、怖くなってしまった。
違わない。俺はきっと悪霊だ。だからこそ、こんなただの女の子を、カミサマなんかに祭り上げられるのだろう。
それでも、一度焦がれたらもうダメだった
俺は駄目になる覚悟をした。自分はもう死んだのだと認める覚悟をしなければならなかった。もう生きていた頃の諸伏景光とは別の何かなのだと、認めなければならなくなった。
それと同時に
自分がカミサマなんかに仕立てあげてしまったこの娘を、
親愛と呼ぶには時間が足りない。恋慕と呼ぶには濁っている。縁と呼ぶには泥がついている。そんな鎖をつけた。俺なんかに憑かれてカワイソウに。
いつか今夜を後悔する日がくるのだろうか
薄暗い部屋の中に彼女の白い首筋が浮かび上がっている。月明かりを吸い込んでいた筈の窓を、いつの間にか雨が叩いていた。
ざぁざぁ
ざぁざぁ
喧騒すら聞こえない、雨音ばかり饒舌な部屋
いいや、あれは
銃声のようだった
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__
ジュウッという音で意識が浮上した。
下瞼とよろしくやってる上瞼を無理やりもち上げると、柔らかい朝の光が差し込んでいて、腹のあたりでじゃれている。
ここ数ヵ月でようやっと見慣れた自分の部屋をぼんやりと薄目で見ていると、香ばしいいい臭いが鼻孔をくすぐった。
いい匂い‥‥なんの匂いだろ‥‥おなかすく匂いだ‥‥
‥‥っていうか私昨日どうしたんだっけ。ええっと、
確かストーカー騒動で疲れてたから、真咲さんが家に帰れっていっくれて、帰ったらヒカリが出迎えてくれて、で、頭が痛くなって、ベッドに倒れて‥‥
それから目が覚めて‥‥スコッチが私を覗きこんでて‥‥
スコッチ‥‥ヒカリ‥‥‥スコッチ=ヒカリ‥‥
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レモン - めちゃおもろいです!!夢主ちゃんの性格大好きです!更新楽しみにしてますっ! (12月12日 10時) (レス) @page43 id: 18ff82607c (このIDを非表示/違反報告)
はる - 初コメ失礼します!!この小説大大大大大好きです!!これからも頑張ってください!!応援しています!! (11月14日 20時) (レス) @page43 id: 41084e4d77 (このIDを非表示/違反報告)
あまね(プロフ) - イヤァァァァアオワッタ好きですで (9月18日 15時) (レス) @page43 id: 2b125e9969 (このIDを非表示/違反報告)
猫目 - すごく好きです (7月15日 14時) (レス) @page43 id: 5daa8eb0a9 (このIDを非表示/違反報告)
泉 - 真咲さんカッコイイ❗更新頑張って下さい!😆 (7月5日 23時) (レス) @page42 id: 5bd30ec6cb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りんず | 作成日時:2019年12月28日 20時