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利吉side
利「用事を済ませたらすぐ帰る予定だったからな。
けど、いつも通り父上と言い争っていたら喉を痛めてしまって」
あの後のお前の様子が気になったから、なんて言える訳がない。
席に座り、先程までしわが深く刻まれていた眉間を揉む。
『ふぅん…相変わらずですね。
あっ』
そうだ、と彼女が良からぬ笑みを浮かべながら私の前に湯呑みを置く。
『新作のお茶なのですが飲んでみてください』
利「なにか禍々しいものを感じるんだが?!」
思わず退けぞると、まぁそう言わずに!と隣に座ってくる。
利「っ……」
いつも私を見ると露骨に嫌な顔をする癖に…たまに来るこのような行動がより私の心を乱してくる。
すっかり薬師の顔をした彼女は目を輝かせ、さぁ飲んでと詰め寄ってきた。
『ものは試しですよ?
それに、今日の利吉さん酷い顔です。
こんなにくっきり隈付けて…最近ろくに寝てないでしょ』
利「ば…っ!!近いっ!」
私の顔を覗き込むように目を合わせてきた彼女に耐えられず思わず彼女の肩を押し返した。
顔に集中する熱を誤魔化すために咳払いをする。
利「わかった!頂くよ!」
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作者名:千夜 | 作成日時:2021年9月16日 23時