２３ ページ24
.
「何か気になることはあったか？」
「いやまったく。いつも通りだった。気になると言えばこっちのことかな」
懐から蜜蝋で封がされていた手紙を取り出し、中に入っていた紙を渡される。
わざとらしいほどに大げさでかしこまった文章、差出人はオスマンだろうな。末尾のサインは、あぁやはりオスマンだった。
「魔力持ちを囲ったんだって？あっちではとてつもない美女なんだろうって噂になってたよ。次期に人間にも広がると思う」
「素晴らしいな」
生物は適応する。己の遺伝子を環境に沿って組み替える。その場に留まり続けるために走り続ける。
その歩みが止まらぬよう、魔王たるものやはりイベントは定期的に起こしてやらねばな。
「あれは絶世の美女なんかよりよっぽどいいモノだぞ？なにせあのトン氏も頻繁に気にかけているぐらいだ」
「トントンが？」
あの日以来、トントンはAを大層気に入っているようだった。聞けば根性があるのと愚直で生きにくそうな点を取りあげていたがそれは俺も同意だ。
効率を重視し、必要以外では冷酷なまでに人間に興味を示さないトントンが率先して関わろうとするのは珍しい。
魔力持ちを傍に置くと言ったときですら多少驚きはしていたが、トントンの思考は"必要なくなれば捨てる"で始終完結していたに違いない。だから大した反対もせず受け入れたのだ。
それが捨てるどころか目にかけるなど。
「あれは見てて飽きない」
「へぇ、じゃあ俺もあとでご挨拶に伺おう…か…な？」
「どうした」
談笑していたひとらんがなんだあれ？と目を細めた。
その視線が俺を通り越し、背後の大窓へと注がれる。最低限の装飾のみで造られたその窓は憎らしいほど晴れ渡る空を映しているが。
そんな晴天を穿つ影。空を飛ぶ生き物なんて世にありふれているが、あれはまさか
「ルフトバッ…！」
「ちがう！グルッペン伏せろ！！」
「んーーーっ！ダぁあイナミックエントリぃいいいい！」
ぎゃああああ！！！！！！
咄嗟に魔法壁を展開した瞬間、盛大にガラスが砕け散る音と数人の大絶叫が城に響き渡った。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1181人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あまぎ(プロフ) - しおりんさん» gﾙさんの瞳の色が青や赤に変わるのに疑問を持ったセリフです！久しぶりに読み返しましたが描写の印象が薄くて分かりにくいですね…せめて分かりやすいセリフに変更しとこうと思います。また何か疑問があればコメントくださる嬉しいです！ありがとうございましたー！ (2020年9月9日 3時) (
レス) id: 975a9486c5 (このIDを非表示/違反報告)
しおりん(プロフ) - １１の『あ、れ？瞳の色が、』ってどういう意味ですか？ (2020年9月9日 0時) (レス) id: 527cd6ca75 (このIDを非表示/違反報告)
ろん(プロフ) - う、うわあああ、、、、！！！ そ、そんなに言ってい頂けるなんて、、、、！！！これからもあまぎさんの書かれるお話を楽しみにしております。 (2019年12月11日 10時) (レス) id: e80195a521 (このIDを非表示/違反報告)
あまぎ(プロフ) - ろんさん» 拝見した瞬間「え、うま…」とリアルで言いました。可愛っ！素朴で芯が通ってる雰囲気に清廉された可愛らしさがあり大変ﾖﾛｼｵｽ!!!!!!!いいもの見せて頂きました。夢主ちゃんにはこれからも魔王軍に苦労して頂きます…頑張ろうな。イラストありがとうございました！ (2019年12月11日 7時) (レス) id: 975a9486c5 (このIDを非表示/違反報告)
ろん(プロフ) - こんな感じで描いてみました。http://uranai.nosv.org/img/user/data/5/cye/5cee1e2d27d68efd0990e96722f9c62a.png (2019年12月10日 15時) (レス) id: e80195a521 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あまぎ x他1人 | 作成日時：2019年11月3日 20時
