【ツイステ】うざ【男主】

ゃ ページ25

･




『俺、結構酷い言葉も言われた事もあるけどその度アイツの事嫌いになって。でも、ちょっと優しくされただけで好きに戻っちゃうの。いっそ嫌いになれたらいいのにさ』




本当に自分が馬鹿で仕方がない。こんなに面倒な野郎この世界に俺以外いる？絶対に居ないね。

俺だってもう忘れたいよ、こんな気持ち。こんなに俺の感情を掻き乱されて辛くなるんだから。さっさと楽になりたい。
もう、あいつは海老のものなんだから俺の手には入らないって決まってんのに。




「分かってる。お前が面倒臭いことなんてもう充分、分かってるさ。なぁA。俺ならお前をその苦しみから救える」

『えっ』




彼の言葉に驚いて目線をオムライスから上へ上げる。そして。彼と目が合った。




「やっとこの時が来たな……瞳に映(うつ)るはお前の主人(あるじ)。尋ねれば答えよ、命じれば頭(こうべ)を垂れよ。

蛇のいざない」(スネーク・ウィスパー




急に目の前の光景が淡く赤色に彩られる。
さっきまでどす黒い感情が俺の中で溢れていたのに、急に脳が真っ白になり彼の言葉に集中することしか出来なくなった。


まるで、本当に彼の瞳に囚われたような感覚だ。そして、彼の口が開いた瞬間、扉がふっ飛んできた。




「ウミヘビくんさぁ、Aに何してんの？」

「なっ、なんで」

『え。どしたの？』




何でお前がここに？

ていうか、何故か急にこの数分程度の記憶だけがすっぽり抜けている。

疑問ばかり浮び上がる。混乱している俺の腕を、彼は強く掴んだ。




「行くよサメちゃん」

『え？』




どういうことか分からない。
まだ食べかけのオムライスを気にも留めず、俺は彼に引っ張られるまま着いて言った。




「チッ……」




思わず零れた舌打ちは、誰の耳にも入らなかった。




･

な→←じ

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す