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聞こえてきた私の名を呼ぶ声に

肩が揺れて、静かに口を抑えた

















岩田「風呂場ー?・・・ってなんで鍵?」


















扉越しに聞こえた声





下げられたドアノブに

開かないと理解しつつも心臓が飛び跳ねる

















岩田「何してんの?」


















何か。言わなきゃ

なんでもいいから言葉を・・・。


















『ッお風呂・・・、入ろうと思って』
















絞り出したような声に

違和感はなかっただろうか


















岩田「・・・今?」


『いま』
















食い気味に放った答えにでさえ不安になってしまう



そんな私の対応に

扉一枚へだてた先から盛れて聞こえるため息



















岩田「入る前に少しだけ顔見せてよ」


『服脱ぎかけてるんで』


岩田「見慣れてるから平気」


『・・・私は見せた覚えないです』

















気づかれているのだと

なんとなく察してしまった




それでも抵抗し続けるのは

ちっぽけなプライドとやらだろう


















岩田「A

俺、そんなに気が長い方じゃないんだ」


















それでも彼だって譲らない


















岩田「扉壊すよ」


『修繕費請求します』


岩田「分かった」


『・・・・・・ッ・・・』




岩田「それでいいんでしょう?」



















両者の意見のぶつかり合い


押し負けたのは私の方だった





ゆっくりと開けた扉

見上げた彼の顔は表情が読み取れない

















『(平気だ。もう涙は止まってる)』


















また己を律して


ほら、もう大丈夫



















『なんなんですか

お風呂入りたかったのに扉壊すと・・・ッ・・・!?』


















せっかく繕って

ちゃんと私を魅せようとしたのに






強引に腕を引かれ、真っ黒になる視界


降ってきた声に心が揺れた


















岩田「大丈夫じゃねーなら隠そうとすんなよ」


『・・・ッ・・・』

















抱きしめられた暖かさが

私にだけ向けられた優しさが



強がる心を侵食していく

















岩田「こうしてれば見えないから」


『・・・・・・ッ・・・』

















気づいたら

止まっていたはずの涙がまた流れていた

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Lin(プロフ) - ゆあさん» そう言っていただけてすごく嬉しいです! ありがとうございます^^* (2020年12月2日 15時) (レス) id: d29197c3df (このIDを非表示/違反報告)
ゆあ(プロフ) - 良すぎます (2020年12月1日 18時) (レス) id: 0e803c254a (このIDを非表示/違反報告)
Lin(プロフ) - shireyさん» 素敵なコメントありがとうございます^^* ほんと早く幸せにしてあげたいです (><) (2020年11月30日 2時) (レス) id: d29197c3df (このIDを非表示/違反報告)
shirey(プロフ) - はあああ(;_;)切ない、、主人公ちゃん幸せになって、、( ; ; ) (2020年11月28日 9時) (レス) id: eae9c1c1ca (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Lin | 作者ホームページ:http:  
作成日時:2020年10月18日 23時

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