逃した魚は5m_2[歌い手]

ルート2_4 ページ15

『最近は新人歌い手さんをチェックしてるんですよ。』

声をかけようか悩んでて……と、リストアップしたメモを見せて言う。

『特に一番下の子がオススメで！話題になれば、絶対伸びると思うんですよね！』

確か男子高校生歌い手だったはず。未成年だから、これが原因で顔バレしました！ってことにならないか心配なんだけど、それでもコラボしたい位上手いんだよ。


『中性的な声が特徴的で、本人は配信で気にしてるって言ってたんですけど、寧ろそこがいいって言うか！』


そこで言葉を切り歌詞太郎さんの方へ目をやると、柔らかい笑顔を向けられた。

相変わらずかっこいいなぁ……なんて一瞬見とれてからはっとする。

『あ、何か私ばっかり喋っちゃってすみません。』
　

歌詞太郎さんニコニコしながら聞いてくれるから忘れてたけど、さっきから私しか話してないや。恥ずかしいな、おい。

「熱くなってつい語りすぎちゃった★」なんて可愛いレベルじゃない勢いだった。しつこいセールスマンと同じくらいの勢い。
え？例えが分かりにくい？黙らっしゃい。←

鼻息荒くしてマシンガントークとか変態かよ私。←


歌詞「楽しそうに話してるの見てて楽しいし、気にしなくていいんだよ？」

『私が気にします！』

気にしなくていいんだよ、とか神対応すぎん？
優しすぎる。何なの。もう無理。超尊い。←

こんなこと考えてるのに、平然とした表情で話してるとか凄くない？顔に出にくい性格でよかった。


歌詞「……僕は、こうやってたまに会って話せれば嬉しいし楽しいよ？」


だから変に気使わなくていいの！と、笑って髪を撫でられる。



ありがとうございます……なんて返しながら、思わずキュンとしてしまった胸をおさえる。


『(……ヤバい、本気で惚れそう。)』


本人には絶対に言えない言葉を飲み込んで。

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