逃した魚は5m_2[歌い手]

ルート2_3 ページ14

歌詞太郎said

ぽかんと固まるAちゃんを見てはっとする。待って待って、もしかして僕恥ずかしいこといった？

歌詞「いや、でもやっぱり行きたいほうに行ってほしいし、全然気にしないで！」


誰から見ても明らかな弁解タイムだと思う。
いや、でも歌い手としては来てほしいと思うものだよね。リスナーさんが自分のライブ来てくれたら嬉しいし！

　
『じゃあ、歌詞太郎さんのライブにしますね。』

クスクスと笑いながら言われる。
やめて……気にしてるから笑わないで……！！


『歌詞太郎さんもこういうこと言うんですね。』

なんか嬉しかったです。
はにかんだ笑顔を向けられて、僕も思わず照れたように笑う。


歌詞「まあ……僕だってたまにはね。」

そらるさんやうらた君、アリスちゃんはすごく人気だ。動画をあげてる本数も多いし……、そういう意味では僕はあまり表に出てないほうなのかな？
ライブとか生でやることは多いけど、それだと来れない人もいるんだよね…。

Aちゃんだって、今は大学生だから来てくれてるけど、社会人になったら忙しくてライブを見に来なくなるかもしれない。


勿論、強制して来てほしい訳じゃない。でも、もしAちゃんがリスナーじゃなくなったら。
気がついたらいなくなってたら。

歌詞「(…それは嫌だなぁ。)」


そう考えると、少し怖い。

　

僕は彼女の《一番の歌い手》でいられればいいと思ってた。

でも、今のままじゃそこまでだ。
《一番の歌い手》じゃなくなった時に、僕とAちゃんを繋ぐものはなくなってしまう。

きっとそれを恐れてる。
　
　

歌詞「(柄にもなくこんなことを考えちゃうなんて……。)」
　
　
　
　
思った以上に重症なんだな、僕。

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