二十四頁 ページ26
「ギャアアアア!!!」
凄まじい断末魔と共に大きな揺れが来て、汽車が傾く。
乗客を守りながら呼吸を使って汽車が傾くのを緩やかに抑え込もうとするが、
「っ!!」
汽車が地面に倒れる直前で窓から放り投げ出されて、地面に打ち付けられると同時に硝子の破片が身体に刺さった。
「…みんな」
煉獄さんや炭治郎達、乗客の心配をして向かおうと這うが、頭を打った私の意識が先に落ちた。
________________数分後。
「俺は炎柱煉獄杏寿郎だ」
「俺は猗窩座」
その声で目を覚ますと、そこには上弦の鬼と何かを話す杏寿郎さんがいた。
恐らく私は軽い脳震盪で意識を失っていたのだろう。
先程の汽車の脱線で出来た傷が痛むが、気にせず体を動かす。
乗客は…大丈夫かな、私は守れたのかな。
「愛月!竈門少年を守れ!」
「…!はい!」
その声で、私の体は痛みを置き去りにして素早く動いた。
炭治郎君の前に立ち刀を構える。
「Aさん!怪我は!」
炭治郎君の方が重傷だと言うのに、こんな時でも人の心配をする君は矢張り優しい人だ。
「大丈夫よ。それより…
…ここは煉獄さんに任せた方が良さそうね」
「また、弱者が出てきたか、虫唾が走るな」
「先程も言ったはずだ、この少年も、彼女も弱くない。侮辱するなと。そして、俺は如何なる理由があろうとも鬼にならないことも」
「そうか」
風が止み一瞬無音になった。私の額から汗が一滴流れ落ちた。
「術式展開 破壊殺・羅針
鬼にならないなら殺す」
その瞬間、戦いの火蓋が切られる。
「炎の呼吸 壱ノ型・不知火」
ドオン!!!と大きな音と共に煙が立ち込める。
向こうの会話は何も聞こえないほどの音だ。
「…!……炭治郎君、動いちゃだめよ」
もぞもぞと後ろで動く炭治郎君を咎める。
「でも!!…」
そのあとの言葉を続けようとする炭治郎君は、
私の顔を見ると口を開けるのを止めた。
分かってる、助けに行きたいよね、助太刀したいよね………私も行きたいよ。
柄を更にギュッと力を込めて握り締める。
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千春餅(プロフ) - 黒揚羽さん» ありがとうございます!また次回作品を投稿する際はよろしくお願い致します!ありがとうございました!! (2020年11月2日 21時) (レス) id: b2822671a3 (このIDを非表示/違反報告)
千春餅(プロフ) - あさこさん» コメントありがとうございます!絶対結ばれます!笑最後までありがとうございました! (2020年11月2日 21時) (レス) id: b2822671a3 (このIDを非表示/違反報告)
黒揚羽(プロフ) - な、涙が止まらない…来世で結ばれて欲しい(´;ω;`)完結おめでとうございます!これからも応援してます! (2020年11月2日 1時) (レス) id: 86957641b4 (このIDを非表示/違反報告)
あさこ(プロフ) - うわーん涙がとまらない、、、、(´;ω;`)来世で必ず結ばれますように、、、!! (2020年11月1日 22時) (レス) id: 81f776d056 (このIDを非表示/違反報告)
千春餅(プロフ) - 四ツ谷さん» ありがとうございます!最後の展開はこうしようと最初に決めていたのですが、後半になるにつれて「2人とも生きて欲しい」という気持ちが出て来てすごく悩みました。来世で2人とも幸せになってほしいですね…。ありがとうございました!! (2020年11月1日 19時) (レス) id: b2822671a3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:千春餅 | 作成日時:2020年10月21日 15時