守りたい【煉獄杏寿郎】

十七頁 ページ19

稽古が終わって千寿郎君と遊んでいる時に、千寿郎君がふと、こちらを見て聞きづらそうに私に尋ねた。


「あの、Aさんはどうして剣を握るのですか？」


どうして、か…。


「守るためだよ、人や、その人の家族、そして何気ない日常を人々が遅れるように、幸せであるように」



……あれ？これ、前にも言ったような…。



「Aさんは、凄いですね。
僕は兄上のようになりたいのです。でも……」



うん、知っているよ、その続きは。


「僕の日輪刀は色が変わらなくて…何度も何度も稽古をつけてもらっているのに、剣術を身につけようとしているのに……僕は駄目なんです」



でも、諦めたくないんでしょう？


「でも僕はまだ諦めたくないんです。
…僕はどうしたらいいのですか？」


涙をグッと堪えて唇を噛みしめて言う千寿郎君は、何処かに消えてしまいそうだった。


私は咄嗟に抱きしめる。


彼自身が諦めたくない、兄のようになりたい、強くなりたいと思うのであれば、


「私と強くなりませんか？」


彼がやりたいことをしてほしい。
私は全力で応援する。



「私も強くはありません……何度刀を振っても、何度鬼を倒しても……命はこの掌からこぼれ落ちてしまうのです」



私も強くなりたい。
……何度も努力して何度も呼吸を鍛錬して、柱みたいになりたいと願うのに。



「私は何も出来なかったんです」

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