M!LKest2 -勇者M!LKと七つの大罪- Part7 (ページ40)

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仁人「う゛っぐああああああ！！！」

柔太朗「太智！仁人の体を押さえてくれ！！」

太智「仁人！大丈夫だから！！も、もう少し我慢してくれ！！」

舌を噛まぬよう、柔太朗は自分の手を仁人の口に押し込み、太智は暴れる仁人の体を押さえつけた。
傷の痛みにもがき苦しむ仁人を見ているだけで心が痛む。
太智は仁人の体を押さえながら、居たたまれない気持ちで目に涙を浮かべていた。
そして、傷の応急手当が終わると、柔太朗と太智の腕の中で、弱り切って痛々しい姿でボロボロになった仁人は、息をのんで小刻みに震えて怯えた目をしている。
幸(さいわ)いにも、肩の傷の出血は止まり、神経も回復したのか、右半身の感覚が戻ってきた。
しかし、出血は止まっても、まだ全身の傷は癒えることなく口を開けている。
一体何をされたのか、柔太朗にはなんとなく想像がついた。
この国の処刑方法や拷問のやり方は、昔、国王である父親に聞かされた記憶があり、その際に憎悪を感じたのを思い出した。

柔太朗「仁人…もう、大丈夫だぞ…。辛かったよな…、"痛かった"よな…。遅くなって、ごめんな…」

柔太朗と太智は仁人の体を優しく抱きしめた。
温かい人のぬくもりが、仁人の冷え切った体と心を包み込む。

仁人「う、うぅ…ぅあぁ…！！ご、ごめん…！戦争が…！！戦争が始まって…！！」

まるで、親にすがる怯えた子供のように、体を震わせ大粒の涙を流して大声で泣きながら柔太朗と太智に抱きついてきた。
二人は、そんな仁人の体を更に優しく、強く、抱きしめた。

太智「大丈夫だよ…。お前のおかげで、戦争はまだ始まってない…。こんなになるまで、耐えてくれてたなんて…本当にありがとう…！！」

仁人「ち、違うんだ…！それだけじゃ…ない…！私は…皆の死を厭(いと)わず…自分も…皆も死んでしまう世界を…最後に選んでしまった…！私は…どうしようもない愚か者だ…！」

泣いて謝罪する仁人の額に、何かがコツンっと当たったのを感じた。
見ると、柔太朗が優しく微笑み、泣きじゃくる仁人の額を指で小突いていた。

柔太朗「ふっ…。それがお前の、もがいて、あがいて、苦しみ抜いて選んだ答えならば、俺は喜んでお前と一緒に死んでやる」

仁人「っ…！」

柔太朗の口から出たその迷いのない答えで、仁人は言葉を失った。
　