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細くて短い針の浅い刺し傷は、致命傷にはならず、急所にも届かない。
全身を貫くような痛みだけがただ襲ってくる、まさに生き地獄だ。
そして、仁人は
その様子を、ガラスの向こうで奴 隷たちが大きな目で見つめる。
そんな目で見ないでくれ…
私が…何をしたって言うんだ…
やめろ…
そんな目で、見るな…
もうやめてくれ…!!!
胃に水が十分たまると、ホースが引き抜かれ、水を吐き出す。
目を背けても、無理矢理頭を奴 隷の方へ向かされる。
ガラスの向こうで、奴 隷たちがガラスを叩き、引っ掻き回す。
水をくれ…水をくれ…何でお前だけ…俺達にも水をくれ…呪ってやる…呪ってやる…
今にもそんな声が聞こえてきそうだ。
そして、彼らの爪は割れ、血が滲み、ガラスは奴 隷たちの血で真っ赤に染まっていく。
赤いいくつもの目が仁人をにらみつける。
仁人「やめ…ろ…見るな…!」
体の震えが止まらない。
この震えが恐怖なのか、何なのかわからない。
仁人にとって、水責めに遭うよりも、暴力を振るわれるよりも、背中を針で刺されるよりも、あの目で見られる方が
仁人「見るな…そんな目で私を見るなよ…」
仁人の声はガラスの向こうの奴 隷達には聞こえない。
まるでガラスが一つの大きな目になったように、ガラス一杯にこちらを見つめる
壊れる
頭が
体が
心が
粉々に壊れていく
仁人「見るなあああああ!!!」
―
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作者名:milkssss | 作成日時:2019年11月18日 16時