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焼け落ちた家の中には誰もいない。
黒くなった家具や内装が、崩れ落ちた壁の隙間から顔を覗かせるだけ。
柔太朗「勇斗、待てよ！」
ものすごいスピードで村を見回っていた勇斗はある場所で立ち止まり、ようやく他の仲間たちも息を切らしながら追いついてきた。
勇斗は一軒の焼け落ちて見る影もない小さな家を、じっと見つめている様だった。
舜太「ハァ…ハァ…。勇斗君、足早すぎ…！ふぅ…。ん？あれ？あそこ誰かおるよ！」
息を整えながら、舜太は村の外れ辺りを指さした。
そこには、二人の男性がスコップを持ち、何かを埋めているのが見えた。
再び、勇斗は何も言わずにその方へ一目散で駆けて行った。
勇斗「すみません！！一体この村で何があったんですか？！教えてください！！！」
何かを埋めていた男性二人の元へ駆け寄るや否や、息を巻いて詰め寄った。
男A「ん？旅の人かい？」
勇斗「え？えぇまぁ…それより、早く教えてください！」
そこへ、仁人達も遅れてやってきた。
男B「二日前だったかな。この村に野盗が攻め入ってきたんだ。そしてこの村の食糧や金目のもん全部盗んで、住民は一人残らず殺され、家もこの通り、全部燃やされた」
男A「これで襲われた村は二つ目でな…。まぁひどい話さ…。俺らの住んでる町はまだ奉行所があるもんで野盗に襲われることはないが、こういう小さい村は真っ先に狙われるだろうな。とくにこの村は"金目の物"が多かったから…」
勇斗「…」
舜太「でも…なにもここまでしやんでも…」
男A「そうだな…。その野盗達は南の国からやってきたんだ。そいつらの国は西の都から送られてくる物資を頼りに生活していたらしくてな」
西の都。
そのワードが出たとたん、仁人たちの表情が曇った。
かつて七つの大罪、スロースの能力により、西の都は怠惰の罪に落とされて、今もその機能は停止したまま。
男B「でもどうやら最近その物資供給が滞っているらしい。だから南の国のやつら、
男A「まぁ、やつらも生きるのに必死なんだろうが、これはなぁ…ひどすぎるな…。まるで逆らうとこうなるぞっていう、見せしめの様だ…」
男B「このままじゃ、南の国のやつらにこの国の領土を奪われちまうかも…」
瑞生「どうやら…あのプライドっていう大罪の狙い通りになってきたってことか…」
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作者名：milkssss | 作成日時：2019年10月7日 16時
