M!LKest2 -勇者M!LKと七つの大罪- Part4 (ページ37)

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境内の中に入ると、勝手に照明に火が灯り、中を照らしていく。
床は照明の光を反射するぐらい綺麗に整えられていた。

柔太朗「あれを見ろ！」

明るく照らされた拝殿内の奥。
そこには御簾(みす)が張られており、向こうの様子が見えない。
そして、その真上に大きな蜘蛛の糸でできた繭が四つぶら下がっているのが見える。
繭には木の杭が打ち付けられており、そこから血がしたたり落ち、糸を伝って御簾の向こう側へ流れこんでいる様だった。

舜太「あれは仁人君達が入ってる繭や！！」

柔太朗「何？！あの中に仁人達が？！」

琉弥「早く下ろしてあげなきゃ…！！」

三人が御簾の方へ駆けだしたその時。
天井から大きな音が鳴り響き、崩れた天井の瓦礫と共に、巨大な蜘蛛が落ちてきた。

舜太「お、お前は！！」

女郎蜘蛛「ふふふ、ここから先は通さんよ。"あの方"がお目覚めになるまではな！」

旅館の女将が変化した巨大な毒蜘蛛は、大きな八本の足を広げると、三人の前に立ちはだかる。

柔太朗「あの方って一体何者なんだ？それに俺たちの仲間に何してくれてるんだ！」

女郎蜘蛛「あの御簾の奥には、かつて次期魔王とまで呼ばれた強大な魔物が封印されている」

柔太朗「次期魔王だと…？！」

女郎蜘蛛「その力は魔王様にも引けを取らなかったが、伝説の勇者の力により、魔王様と同じように、"あの方"も封印された…。だが、しかし。これでようやく"あの方"を復活させられる。そうなれば"あの方"を新たな魔王とし、再びこの世界を我ら魔物の世界に作り替えてやろう！！」

柔太朗「伝説の勇者…」

それは、かつてこの世界を魔王の危機から救った英雄として語り継がれる存在であった。
その力は一人で魔王と互角に渡り合い、強大な魔王を封印した。
しかし、封印していたのは魔王だけではなかったようだ。

柔太朗「そうか…、あの魔王がそうだったように、勇者の封印は勇者の力でしか解くことができない…。それでこの村で俺達を待っていたというのか…？」

女郎蜘蛛「その通り。見てみろ。あの四人の勇者共の生き血が"あの方"に流れ込んでいる。素晴らしい…まもなく復活される…！！」

舜太「素晴らしくなんかない！！君のハートにボレーシュート！！！」

舜太は炎の球を女郎蜘蛛めがけて蹴り放った。

女郎蜘蛛「馬鹿め、そんなもの…！」

女郎蜘蛛は素早い動きで火球を避ける。

舜太「馬鹿はそっちやで」

舜太はニコッとほほ笑んで見せた。