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荷物を盗んで逃げた子供は、残り二人の子供と落ち合うはずだった場所へ勇者たちを連れてきた。
そこは小さな広場で、すでに二人の子供が待っていた。
「え？！なんで連れてきたの？！」
待っていた子供が、仁人達を見て慌てふためいている。
「捕まっちゃった…」
「えー？！
荷物を盗んだ子の名前は、どうやら向日葵というらしかった。
向日葵「だってこいつら、変な力使ってくるんだ」
太智「わっはっは！どうだー？！凄かっただろー？！」
瑞生「太智は二回とも伸びてただけじゃないか」
太智「言うなよー！」
仁人「私たちは勇者だ。君たちの力になりたい。だから、この村のことについて聞かせてほしい」
向日葵「本当に、助けてくれるの？」
仁人「もちろんだ」
向日葵「はぁ…」
向日葵は少しため息を漏らすと、この村について話し始めた。
―
向日葵「元々この村は普通の村だった。でも三週間ぐらい前から、急にこの村の大人たちがおかしくなったんだ―」
普段、仲良くしてたお隣さんや、友達の親同士で、何か言い合ってた。
『あなたの家はうちより大きい。それは小さな家に対する見せしめか！』
とか
『どこどこの家の食器はうちより高いから腹が立つ』
とか
それから、どんどん村の雰囲気は悪くなっていったんだ…。
周りに色々言われるのが嫌だから、皆、家の窓に布をかぶせて、ほとんど外出もしなくなった。
そのせいで家には食べ物はなくなるし、親は部屋の隅で何かぶつぶつ言うだけ…。
だからこうやって子供だけで集まって、通りすがりの旅人から食べ物とか、売れそうなものを盗むしかなかった…。
―
舜太「そうなんや…。俺の食べ物全部あげるな？お菓子一杯あるで」
舜太はそう言って背中袋からお菓子を取り出して三人に渡した。
三人は目を輝かせてそれを頬張る。
太智「子供には何の影響もないのか…。でも、この村の大人たちどうしちゃったんだ？大人げない"嫉妬"ばっかりじゃん」
勇斗「仁人、まさかこれって…」
仁人「あ、あぁ…。嫉妬…。間違いない…」
仁人は顔をしかめると自分の左腕を押さえつけた。
仁人「エンビー＜嫉妬＞だ…」
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作者名：milkssss | 作成日時：2019年9月9日 17時
