ページ ページ19
ポタポタと床に血が落ちる音が、静かな小屋に響き渡る。
氷の剣の切先が、勇斗の背中を突き破り飛び出していた。
その切先から血がしたたり落ちている。
ラース「けっけっけ!!ついにやりやがった!!!こいつ!!怒りで仲間を殺しやがったぜ!!!」
ラースは歓喜の声をあげる。
勇斗の腹を貫き、深々と突き刺さる氷の剣。
その柄を握る柔太朗の手に、何か生暖かいものが触れた。
柔太朗「…!」
その感触に、柔太朗はハッとなって自分の手を見つめる。
勇斗の体から流れる血で、真っ赤に染まった自分の手。
柔太朗「え…?」
何だ…これ…
俺が、これをやったのか?
俺が…勇斗をこんな風にしたっていうのか…?!
勇斗「ゔっ…!」
柔太朗の目の前で、氷の剣に貫かれた勇斗が、口から血を勢いよく吐き出している。
柔太朗「あぁ…ああ!!勇斗…?!何で…あ…あああ!?」
勇斗「柔太朗…ごめんな…」
勇斗の目から、涙が溢れ出していた。
勇斗「俺…お前にこんなことさせるまで…何も気がつかなくて…何も知らなくて…バカだよな…」
柔太朗「あっ…あ…、違う…!!そんな…?!」
柔太朗は左右に首を振る。
勇斗「昨日の夜…仁人とお前が話してるの…聞いちゃったんだ…。俺…だったんだな…。お前の家族や仲間を…。それなのに…俺…のうのうと生きてた…。そりゃ…怒るよな…、許せないよな…」
柔太朗「違う…!違う…!!勇斗は何も…悪くない…!!」
勇斗「なのに…俺のこと…仲間だって…言ってくれてさ…、嬉しかった…。ほんと…俺って…幸せ…も…の…」
そう言って、勇斗は静かに冷たい床の上に崩れ落ちた。
柔太朗「そ、そんな…嘘だよな…?は、勇斗…?」
動かなくなった勇斗は、しかし何も答えてはくれない。
勇斗の血にまみれた自分の手を見つめる柔太朗は、やがて全身をガタガタと震わせて、自分の頭を抱えた。
柔太朗「あ…あぁあ…うあああああああ!!!」
―
3人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:milkssss | 作成日時:2019年8月22日 18時