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森の中を小さな白い球がコロコロ、ピョンピョン。
転がっては跳ね、転がっては跳ね。
「シリタイ！シリタイ！」
その白い球はそう言うと、一輪の小さな紫色の花の前で、ぴたりとその動きを止めた。
「シリタイ！シリタイ！」
白い球は直径20センチほどの大きさ。
黒く小さな目のようなものが二つ付いており、球の真ん中あたりが口のように大きく裂けていた。
その裂け目が広がり、くす玉のようにパカっと開く。
そして、その花を食べるように一飲みに―。
「わー！！ダメダメダメ！！！」
白い球が、その花を飲み込もうとした瞬間、一人の少年が叫びながらその球を花から引き離した。
「ウワ！ツカマッタ？！ツカマッタ？！」
「ダメだよ！これは猛毒の花なの！食べたら死ぬよ？！」
「ドク？」
「そう毒！っていうかお前、何？！生き物なの？！」
「ドク！シリタイ！シリタイ！」
「うわっ、なんだよ！暴れるなって！」
「シリタイ！シリタイ！」
「花のこともっと知りたいの？」
「シリタイ！シリタイ！」
「あーわかったわかった！この花は毒があって食べたり触ったりしたら、駄目な奴！それから、そうだなー。あ！こっちの花は、食べられるよ！」
「タベレル！タベレル！」
その少年は別の白い花を摘み取ると、その球の口の様な部分にそれを渡してみた。
白い球は、パクっと花を一飲みにする。
「どう？」
「オイシイ！モット！モット！」
「あはは！お前面白いな！んー、名前とかあるの？」
「ナマエ？」
「そう！お前の名前！」
「グリード！！グリード！！」
「グリード？変な名前！そうだ！俺がもっとカッコイイ名前つけてあげる！」
「ナマエ！ナマエ！」
「そうだなー。丸くてー、シリタイって言ってたからー。"シリマル"！お前の名前はシリマル！どう？！カッコイイでしょ！」
シリマル「シリマル！シリマル！カッコイイ！カッコイイ！！ナマエ！シリタイ！シリタイ！」
「え？俺の名前知りたいの？」
シリマル「シリタイ！シリタイ！」
「俺の名前は琉弥！リュ・ウ・ビ！わかる？」
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作者名：milkssss | 作成日時：2019年8月5日 16時
