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大きな赤いリボンを巻いて。 ページ50

〜〜〜稲野〜〜〜
夕日が当たる教室で一人、アコギをケースから取り出す。
明日から暫くは文化祭に向けての練習だ。
放送委員の放課後を告げる放送を聞き流し、
先日配られた新譜の練習に取り掛かる。
人気はあるけど、それ以上に難しい曲。
上手く弾けなきゃバッシング。
そんなの、よくある事。
とは言え、良いものを皆に聴いて欲しいのは俺の本心で。
練習不足は絶対に嫌だからな。
足を組んでギターのボディを支える。
ピックを手に取って、準備完了。

時々口ずさみながら弾くのは、結構楽しい。
やがて弾き終えて、一息吐いた。
それと同時に、俺の心の中を掠めるものが。
稲「一人、か。」
あいつがリナと付き合ってもう一ヶ月は経ってるし、
未だに友達関係は続いてるけど。
稲「何だよ、俺だけ置いてきぼりかよ。」
自嘲しても仕方無い。練習しなきゃ。
弾いている途中に、廊下側から視線が。
ふと見ると、地味な雰囲気の女子がこちらを覗いていた。
見た事無えから多分違うクラスの奴だろう。
俺が見た瞬間、そいつは慌てた様子で廊下を歩き去って行った。
何だよ、変な奴。

手が疲れてきたので、少し休憩。
ピックを机に置き、代わりに予め買っておいたお茶を手に取る。
冷たい緑茶が俺の喉を冷やしながら通り過ぎる。
…よし、休憩終わり。
俺は再びピックを持って、ギターを掻き鳴らした。
弾いている間も、あの二人の事が頭をよぎる。
この前はプール施設<茉莉花シーサイドパーク>に行ったって言ってたな。
少し焼けたリナの肌が新鮮で、
ちょっとだけドキッとしたのは内緒の話。
人の、と言うか親友の彼女だし、ね。
寝取る程の度胸は、俺には無い。
第一そんな事したら二人に悪いし。
やがて弾き終わると、二人分の疎らかな拍手が教室に響いた。
顔を上げると、そこには。
あ「お疲れ、稲野ちゃん。」
『やっぱり上手!カッコイイ!』
俺の親友と、その彼女がドアの近くに立っていた。

二人が俺の元に近付いてくる。
稲「あれ、何か首に付けてんじゃん。」
あ「ああこれ?リナ、これが何か説明してやってや。」
『Oui!イナノ、これはrosaryって言うノ!』
稲「ロザリー?」
あ「ロザリオって言ったら分かる?」
ALTO君の追加の説明に合点がいく。
『ワタシとアルトの、お揃いだヨ!』
お揃い、ねえ。
あ「そろそろ帰らん?稲野ちゃんに聞いて欲しい話があるし。」
稲「良いよ。帰ろうぜ。」
ギターを仕舞い、二人と並んで歩き出す。
さあ、二人の惚気を聴いてやろうか。

-fin-

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螢羅(K-Ra)(プロフ) - 緑月翡翠さん» いつもありがとうございます!フランス語を取り入れるのは初めてだったのですが、書いていたら楽しくて楽しくて…!毎日更新、出来れば良いんですけどねえ…。貴重なご意見ありがとうございます! (2017年4月20日 7時) (レス) id: 575549c323 (このIDを非表示/違反報告)
緑月翡翠(プロフ) - 完結おめでとうございます!フランスや花言葉は私も大好きで、とても良かったです…!読者としては毎日更新が嬉しいのですが、ご多忙なようなので時間があれば、という形がいいと思います。次作も楽しみにしています!長文失礼しましたm(__)m (2017年4月20日 6時) (携帯から) (レス) id: b835eb55b1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:螢羅(K-Ra) | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2017年3月3日 20時

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