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三十四輪 ページ35

あ「…ふふっ。」
稲「笑うなっつったじゃん。
自分でも恥ずかしい事言ってんの、よく分かってんだよ。」
あ「ごめんごめん。私も同じ事思っとったけん。
私ら、考えとる事似とるなって思って。」
稲「…嬉しくねえよ。」
尚も笑う私を、冷ややかな目で睨み付ける稲野ちゃん。
あ「でも、何か安心した。
やって稲野ちゃん、たまに何考えてるんか分からん時あるけん。
本心聞けて良かったばい。」
稲「…あ、リナ戻ってきた。」
私の言葉の方向を無理矢理変えて、リナの方に目を移す彼。
同じ方を見ると、両手にパンを三つも抱えて
こちらに向かってくるリナを見付けた。
『買えたヨー!
アルト!イナノ!どれかアゲル!』
あ「遠慮するばい。リナが自分のお金で
買ったパンやけん、奢らす様な真似は出来んよ。」
稲「俺もいらねえよ。自分の弁当あるし。
それに、リナの昼飯でしょ?」
私らにそう言われて、むうっと唸るリナ。
あ「そう言えば、ジュースは?持っとらんみたいやけど。」
『Ah!買ってナイ!忘れテタ!』
あ「やろうと思ったわ。
パンは預かるけん、買いに行ったら?」
『我慢スル!もうお金ナイ!』
あっけらかんとした返しに、思わずずっこけそうになる。
稲「何考えてんの。パンだけだったら口の中パッサパサになるぞ。」
『ヘーキ!戻ろ!お腹空いタ!』
幾ら何でも楽観的過ぎるやろ。
そんな彼女の先導で、私らは教室に戻った。
無事に任務完了、と言うべきか。

戻ってすぐに、弁当が放置されたままの
稲野ちゃんとリナの机に向かう。
音を立てて椅子を引き、そこに座って改めて弁当の蓋を開ける。
美味しそうにパンを頬張るリナに対して、
稲野ちゃんはどこかアンニュイな表情や。
私にあの話をした後やからか?
と、突然リナ側からくぐもった声が聞こえた。
…ほら、言わん事やない。
あ「ああもう。飲みもんも無かやのに一気に頬張るから!」
稲野ちゃんが自分の水筒を開け、中のお茶を注いで彼女に渡す。
その間に私は、彼女の背中を軽く何度も叩いた。
彼女はお茶を受け取りごくごく飲み干すと、
一息吐いてからヘヘ、と笑った。
『アリガト!すっきりシタ!』
稲野ちゃんは彼女から水筒の蓋を受け取ってすぐに元に戻した。

ちょっとしたハプニングを何とか乗り越え、昼休み。
稲野ちゃんが人狼カードゲームを取り出すが、
明らかに人数が足りん。
裏面の注意書きを見ると、五人からと書かれている。
…そうや。生徒会のあの人らなら一緒にやってくれるかも知れん。

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螢羅(K-Ra)(プロフ) - 緑月翡翠さん» いつもありがとうございます!フランス語を取り入れるのは初めてだったのですが、書いていたら楽しくて楽しくて…!毎日更新、出来れば良いんですけどねえ…。貴重なご意見ありがとうございます! (2017年4月20日 7時) (レス) id: 575549c323 (このIDを非表示/違反報告)
緑月翡翠(プロフ) - 完結おめでとうございます!フランスや花言葉は私も大好きで、とても良かったです…!読者としては毎日更新が嬉しいのですが、ご多忙なようなので時間があれば、という形がいいと思います。次作も楽しみにしています!長文失礼しましたm(__)m (2017年4月20日 6時) (携帯から) (レス) id: b835eb55b1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:螢羅(K-Ra) | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2017年3月3日 20時

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