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二十輪 ページ21

その日はどうにか耐え抜き、理性を保ったまま
無事に家に辿り着く事が出来た。
本当にどうしたんや、私は。
夕食の後に自分の部屋に戻っても、リナの顔が脳内から離れん。
普段は子どもっぽい彼女がたまに見せる、
大人顔負けのコケティッシュな表情。
今まで私の周りにあんな女子はおらんかったけん、変に緊張しとるんかも。
そうやと思いたい。思わんと、
明日からリナとどんな顔して話したら良いか分からん。

そして数日後、迎えた水泳大会。
クラス対抗で行うこの行事は、二日に分けて行われる。
初日に一年生と二年生、二日目に三年生と各学年の優勝クラス。
そして今日の午後は、私ら二年生が出場する。
既に私ら二年生は、殆ど全員が水着に着替えていた。
リナもうちの高校指定の水着に着替えて笑顔を浮かべている。
『アルト!イナノ!Bon courage!頑張ロー!』
あ「おー!」
稲「…。」
あ「ほら、稲野ちゃんも!」
稲「お、おー。」
リナの明るい掛け声に、私と稲野ちゃんも
小さく握りこぶしを上げながら応える。
KADA君の放送が始まった。
か「午前の一年生の部に引き続き、
私KADAが午後の二年生の部も担当します。
それでは早速、二年生の部を開始致します。
最初の種目はクロールです。
出場する生徒は所定の位置に着いて下さい!」
マイクの代わりに拡声器を片手に、彼はそう指示した。
いきなり最初か。良いスタートを切れれば良いんやけど。
私の出番は、クロールのアンカー。
一位ならそのまま引き離すかスピードを保てば良い。
ビリならスピードを何倍も上げて追い付かないといけない。
状況に合わせて臨機応変に対応しなければいけないという重要なポジションだ。
それに合わせて、クロールは一番最初の種目。
ここでの結果が全ての基準になるので、
かなりプレッシャーが掛かる。
指示通りに位置に着き、軽く体を動かす。
待機用のスペースからリナが私の名前を叫ぶ声がした。
稲野ちゃんはその隣で腕を組んで私を見ている。
これは負けられんな。
か「皆さん、準備は宜しいですか?
それでは参ります。位置に着いて、よーい…!」
ピーッ!
先生が鳴らすホイッスルの音に合わせて、
先頭の人らがプールに飛び込む。
途端に両側にある座席から、
それぞれのクラスを応援する声が聞こえ出した。
一人目が戻ってくるのと同時に二人目が飛び込み、泳ぎ出す。
次は三人目。それが終わればいよいよ私の番。
三人目が戻ってきた。
壁に手が触れたのを確認し、水面に飛び込んだ。

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螢羅(K-Ra)(プロフ) - 緑月翡翠さん» いつもありがとうございます!フランス語を取り入れるのは初めてだったのですが、書いていたら楽しくて楽しくて…!毎日更新、出来れば良いんですけどねえ…。貴重なご意見ありがとうございます! (2017年4月20日 7時) (レス) id: 575549c323 (このIDを非表示/違反報告)
緑月翡翠(プロフ) - 完結おめでとうございます!フランスや花言葉は私も大好きで、とても良かったです…!読者としては毎日更新が嬉しいのですが、ご多忙なようなので時間があれば、という形がいいと思います。次作も楽しみにしています!長文失礼しましたm(__)m (2017年4月20日 6時) (携帯から) (レス) id: b835eb55b1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:螢羅(K-Ra) | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2017年3月3日 20時

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