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二輪 ページ3

最初の休み時間。
チャイムが鳴ってすぐに、鈴原さんの周りに
人だかりが出来上がる。
転入生あるあるやな。
集まっているのは主に女子だ。
男子もいるっちゃいるけど、比べると少ない程度。
そしてこれまた転入生あるある。
答える隙すら無い程の質問攻めだ。
「ねぇねぇ!どこから来たの?」
「友達になろうよ!リナって呼んで良い?」
「綺麗な顔ー!正にハーフって感じ!」
「ハーフなのに何で髪黒いの?まさか染めて来てる?」
『あ…。エト、そノ…。』
鈴原さんは答え切れず、あたふたしている。
質問だけせんと答えも聞いてやりや。
「ねぇ、何で答えないの?
もしかして日本語話せないとか?」
「嘘ー!?日本に来てんのに日本語話せないの?」
質問がどんどん嘲笑へと変わっていく。
「だっせ。何で何も言わねえんだよ。何か言ってみろよ!」
これはマジでヤバい。
このままやと鈴原さんが苛めのターゲットになってしまう。
そう思い、こちらに来ていた稲野ちゃんと共に
彼女の所に向かった。

あ「そんぐらいにしときや。
鈴原さん、困っとるやろ?」
事を荒立てたくないし、
何より鈴原さんを怖がらせたくもない。
私は出来るだけ言葉を選び、周りに発した。
稲「お前ら、質問し過ぎ。
それに、言葉ぐらい選べば?
日本語が分かってなくてもニュアンスで気付くと思うぞ。」
稲野ちゃんからも援護射撃してくれる。
鈴原さんの顔を見てみる。
整っている顔立ちが歪み、青ざめている様に見えた。
止めに入るのが遅かったらどうなってたやろ。
結果。
周りの人だかりが、急激に減っていった。
「面白くねえの。」
「何か興醒めー。」
「第一日本語話せない奴となんか話したくねえわー!」
その捨て台詞に苛立ちながらも、
鈴原さんの机の近くに屈み込む。
稲野ちゃんは自分の席に座った。
あ「大丈夫?パニックになったりしてない?」
『…Oui.』
簡単な日本語は分かるみたいやな。
私自身も気になっていたので、噛み砕いて質問してみる。
あ「名前的に日本人とのハーフだよね?
どこの国とのハーフなんかな?」
『f…France.』
あ「そっか。生まれもフランス?」
『Oui.』
あ「良いなあ!じゃあ、高校もフランスやったん?」
『Oui.』
稲「帰国子女、とは違うみたいだな。」
あ「せやね。生まれはフランスやし、そことのハーフやし。」
『キコクシジョ…?』
あ「ああ。帰国子女って言うんは…。」
私の説明に対し、向けられる透き通った青い目。
こりゃ、稲野ちゃんも赤くなるわな。

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螢羅(K-Ra)(プロフ) - 緑月翡翠さん» いつもありがとうございます!フランス語を取り入れるのは初めてだったのですが、書いていたら楽しくて楽しくて…!毎日更新、出来れば良いんですけどねえ…。貴重なご意見ありがとうございます! (2017年4月20日 7時) (レス) id: 575549c323 (このIDを非表示/違反報告)
緑月翡翠(プロフ) - 完結おめでとうございます!フランスや花言葉は私も大好きで、とても良かったです…!読者としては毎日更新が嬉しいのですが、ご多忙なようなので時間があれば、という形がいいと思います。次作も楽しみにしています!長文失礼しましたm(__)m (2017年4月20日 6時) (携帯から) (レス) id: b835eb55b1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:螢羅(K-Ra) | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2017年3月3日 20時

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