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十五輪 ページ16

『アルト!』
リナは嬉しそうに、私を見て笑った。
彼女の少し濡れた髪が、窓から入る風によって小さく靡いている。
それを見ている内に、私の心が揺らいでいる様な、
何とも変な感覚に陥った。
さっきからどうしたんや私は。
稲「リナがALTO君にお礼言いたいんだって。
聞いてあげてよ。」
『アルト、アリガト!ワタシ、嬉シイ!』
嬉々として私の両手を握り、お互いの顔の近くに持っていく。
あ「…大袈裟やな。
私は当たり前の事をしただけばい。
友達を助けんのは当たり前やろ?」
稲「かっこいー。」
あ「わまかしな!」
普通の事を言っただけやのに、何で赤くならないけんのや。
やがてチャイムが鳴り、そそくさと自分の席に戻る。
鞄から水筒を取り出し、中のお茶を並々と注いでぐいっと飲み干す。
どうにか落ち着き、一息吐いた。
もう、何なんや。
数日前辺りからリナに気持ちが振り回されっ放しやないか。
こんなん初めてや。一体どうしたら良いんよ…?

色々な気持ちを抱え、悶々としながら授業を受ける。
それでも何故か、リナが気になって仕方無くなる。
また苛められてないやろか。酷い事されてないやろか。
彼女の親にでもなった様な気持ちで、私は授業を聞いていた。
仕方無いやろ。
直前まであんな事があったけん、気になってしまうんや。
まあ何かあったら、彼女の前の席にいる稲野ちゃんが
私の代わりに助けてくれるやろうけど。
二人よりも離れた席にいる事を、私は少し恨んだ。
それが誰に向けてのものなんかは、私すらも知らんのやけど。

か「[放送部の、JASMINE.jp!]」
隣のクラスの放送部員、KADA君の
タイトルコールの後に流れる、軽快な音楽。
我が高校のお昼恒例のラジオが始まった。
リナはこれがお気に召したらしく、
私らの話を中断してでも聴いている。
学校の有名人をゲストに招く事も多いこのラジオは、
確かに学校中の人気を軽音部のバンドと二分していた。
稲野ちゃんも、いつぞやの放送の時にゲストとして呼ばれてたっけ。
か「えー始まりました!放送部のJASMINE.jp!
お相手は私、KADAでお送りします。
部長からの指示で、巻いて巻いてとの事なので
早速行きましょう。
それでは楽しいホームページの世界、
JASMINE.jpにレッツ、アクセス!」
軽快な音楽が止まり、お馴染みとなった機械音が流れる。
一瞬だけ無音になり、今度はゆったりとした曲が流れた。
前半のお便りコーナーのテーマだ。
特徴ある低音ボイスで、本日最初のお便りが読み上げられた。

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螢羅(K-Ra)(プロフ) - 緑月翡翠さん» いつもありがとうございます!フランス語を取り入れるのは初めてだったのですが、書いていたら楽しくて楽しくて…!毎日更新、出来れば良いんですけどねえ…。貴重なご意見ありがとうございます! (2017年4月20日 7時) (レス) id: 575549c323 (このIDを非表示/違反報告)
緑月翡翠(プロフ) - 完結おめでとうございます!フランスや花言葉は私も大好きで、とても良かったです…!読者としては毎日更新が嬉しいのですが、ご多忙なようなので時間があれば、という形がいいと思います。次作も楽しみにしています!長文失礼しましたm(__)m (2017年4月20日 6時) (携帯から) (レス) id: b835eb55b1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:螢羅(K-Ra) | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2017年3月3日 20時

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