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十三輪 ページ14

数日後。
体育の水泳の授業は自主練習となった。
稲野ちゃんと二人一組で準備運動をしていると、
彼が私の肩を叩いてくる。
指を指した先には、ここのものとは違う
水着を着て準備運動に励むリナが。
そんな事もあり、彼女の姿が目立つのなんの。
男子サイドのそこかしこから、ヒソヒソと話し声が聞こえてくる。
「やべえ、鈴原可愛くね?」
「周りの女子と違うよな。」
「俺、ハーフの女でも良くなってきた!」
明らかに、リナの事だ。
彼女と友達である事が誇らしく感じ、
稲野ちゃんと顔を見合わせてニヤリと笑う。
先生からの合図で、自主練習が始まった。

何故かリナが、皆が動き始めた頃を見計らってこちらに来る。
『アルト!イナノ!piscine!プールダヨ!
s'amuser!遊ボ遊ボ!』
あ「これは遊ぶんやないんよ。
学校の授業やけんな。」
稲「リナが前に行ってた高校って、プールの授業は無かったの?」
『Oui!無カッタヨ!』
あ「じゃあその水着は…。」
言ってから後悔する。
女の子に何を訊いとるんや私は。
それでも彼女は、気付いてない様なそぶりであっけらかんと答える。
『貰ッタ!ママカラ!』
またママか。
厳しいって言ってた割には良くしてくれるんやな。
まあ、それが親としては当然の事なんやろうけど。
リナがいる方角から、幾つかの視線を感じる。
ちらっと見ると、数人の女子らが遠巻きにこちらを
見つめてヒソヒソと話していた。
それも、先程の男子らとは違って、
こちらを突き刺す様な視線と言葉を滲ませて。
わざわざここまで来んでも、
せめてプールを挟んだ女子サイドで話せば良いやろ。
おかげで突き刺す様な言葉も、
わざと私らに聞こえる様に言っとるみたいに聞こえる。
あ「そろそろやろか。あっちで練習しよ。」
私は二人を連れて、女子らから離れた所に向かった。

悠々と泳ぎ続けている彼女を一瞥した後、
私はプールサイドの縁にどかりと座って
反対側から泳いで戻ってきた稲野ちゃんと話す。
あ「お疲れちゃん。さっきより速かったね。」
稲「タイムは意識してなかったけどな。
ALTO君も練習すれば?
ずっとそこに座ってると日焼けしちゃうよ?」
あ「この位平気や。曲がりなりにも九州人やけんな、私。」
『アルトー!イナノー!』
一番端から、リナの声が聞こえた。
彼女が大きく手を振ってきたので、私らも手を振り返す。
その後ろには、先程の女子らがいた。
そしてそいつらは…、いきなりリナの頭を掴んで
その顔をプールの水面に押さえ付けた。

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螢羅(K-Ra)(プロフ) - 緑月翡翠さん» いつもありがとうございます!フランス語を取り入れるのは初めてだったのですが、書いていたら楽しくて楽しくて…!毎日更新、出来れば良いんですけどねえ…。貴重なご意見ありがとうございます! (2017年4月20日 7時) (レス) id: 575549c323 (このIDを非表示/違反報告)
緑月翡翠(プロフ) - 完結おめでとうございます!フランスや花言葉は私も大好きで、とても良かったです…!読者としては毎日更新が嬉しいのですが、ご多忙なようなので時間があれば、という形がいいと思います。次作も楽しみにしています!長文失礼しましたm(__)m (2017年4月20日 6時) (携帯から) (レス) id: b835eb55b1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:螢羅(K-Ra) | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2017年3月3日 20時

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