＃２０ 唯一 ページ20
.
Yuto side
雄登｢ねぇ、なんで俺こんな所に呼ばれてんの？｣
『ん〜良いじゃん
たまには、ね』
この姉さんの考えていることを分かろうとなんて思ってもいない
分かろうとしても無駄だ
この人は俺よりも何倍も頭が良くて、何倍も上手だから
今日も急に連絡が来たと思えば
仕事終わりであろう姿でカフェオレを口にして、俺の事を待っていた
雄登｢昨日帰ってこなかったでしょ
返信なかったから心配したんだけど｣
いつもならすぐに来る返信が一晩経っても来ない
この人の朝帰りはひと月に1度くらいのペースであること
今日もそれかと頭の中では考えていても、やっぱり心配で
『ごめんね？雄登
次からちゃんと連絡するから』
あぁやっぱりこの人の考えてる事は読めない
でもこの人の中身を知っているのはきっと俺だけだから
揺れる水面を眺めている姉さんが、何故か酷く儚く思えた
雄登｢昨日さ、誰と会っていたの？｣
夜に帰ってこないなんて、何をしているかとか流石に分かる
でも、誰と会っていたかは知らない
『やさしい人だよ
雄登、今日はすごい聞いてくるねぇ』
雄登｢聞いて欲しくないなら、そんな顔しないでよ
姉さんのことが心配なんだよ、俺は｣
『え〜私、そんな酷い顔してる？』
してるよ、凄く
夜帰って来なかった次の日は決まって酷い顔をしているよ
きっとそれも、俺しか気づいてないんだろうけどね
雄登｢……姉さん、今日ご飯食べて帰ろうよ｣
『うん、いいよ
2人でご飯行くの久しぶりだねぇ』
雄登｢姉さんが忙しいからね｣
『仕事がね、有難いよ
まぁ大学卒業出来るかは分からないけど
雄登も内部進学が決まるまでは頑張るんだよー？』
カフェから出て、大通りを肩を並べて歩く
姉さんが言う優しい人って誰なんだろう
『雄登、私ね』
雄登｢ん？｣
『7年も片想いしてたけど』
雄登｢うん｣
『一度も諦めようなんて思ったこと無かったの』
『ふざけてるように見えてたかもしれないけど、本気で好きだった』
『この7年間の中で、あの人以外を好きになることなんて一度も無かったの』
雄登｢うん｣
『それももう、終わりにするの』
姉さんの中で、きっと何かがあったんだろうね
柔らかく笑って、
今日何食べよっか？
なんて先程の会話なんて無かったかのようにそう言って
そんな姉さんの頭をそっと撫でた
それが今、俺に出来る唯一のことだったからさ
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 4731人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
凛(プロフ) - はじめまして。まさかのエレクトーンが紅一点ちゃんと共通点だなんて！！！と勝手に上がってコメント失礼いたしました。更新楽しみにしております。 (2020年6月8日 5時) (
レス) id: 0ac44f0feb (このIDを非表示/違反報告)
雪ん子。 - すっごく読みやすくて、ドキドキさせてもらってます！！これからも更新して下さったら嬉しいです！！！(≧▽≦) (2020年5月30日 23時) (レス) id: ccb0d32bc6 (このIDを非表示/違反報告)
如月ﾖｼﾉ。(プロフ) - 今日の読んでたら、阿部ちゃんいいなーってなりました！これからも更新頑張ってください！ (2020年5月30日 19時) (レス) id: 3bc10946d5 (このIDを非表示/違反報告)
rouge(プロフ) - 素敵な小説ありがとうございます(^^)最後誰とくっつくのかなぁと楽しんで見させて頂いています♪あえてあべちゃんとくっついて欲しいなぁと思ってます笑。これからもご自身のペースで頑張って下さいね！ (2020年5月30日 7時) (レス) id: 39e165841d (このIDを非表示/違反報告)
薫乃(プロフ) - 深澤さんに報われてほしいです(T-T)そして翔太くん後悔しなさい(T-T)ふっかさん、、、リアコ過ぎます(T-T) (2020年5月29日 16時) (レス) id: 58fa025e8e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：柊 美優
| 作者ホームページ：http:twitter.com/iam_cham7
作成日時：2020年4月18日 16時
